私立通信制高校の学費はいくら?全日制・定時制とも比較 2021.05.24
通信制高校は公立校に在籍する生徒よりも私立校に在籍する生徒が多いです。
そのため、通信制高校は私立が多いというイメージが「通信制高校は学費が高い」というイメージに繋がっている方もいるでしょう。
でも、私立だからといって通信制高校の学費は本当にそんなに高いんでしょうか?
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私立の通信制高校の学費
私立の通信制高校のなかでも2016年に開校したばかりで知名度が高い、角川ドワンゴ学園N高等学校を例にあげて私立高校の学費をみていきましょう。
以下はN高のネットコースの2017年10月以降の初年度学費です。最も安いコースになります。
入学金 | 10,000円 |
---|---|
授業料(25単位取得) | 180,000円 |
施設設備費 | 50,000円 |
教育関連諸費 | 13,000円 |
初年度学費合計 | 253,000円 |
たしかに公立高校と比べると、圧倒的に授業料が高いです。
しかし1ヶ月あたり約2万円と考えると、高校生のアルバイトでも支払える金額だともいえます。
意外と安いと感じた方もいるのではないでしょうか?
学費が高くなるケース
しかしどの私立通信制高校でも、どんな通い方をしても、このくらいの金額だというわけではありません。
私立の学校は登校日数や学べる授業に大きな幅があります。上記で紹介したN高のコースは年間登校日数数日間の、高校卒業資格取得のため最低限のことだけができるコースです。
いろいろなオプションを増やせば増やすほど授業料は高くなります。
週5日通学した場合
N高は登校日数によって細かく年間授業料が設定されています。以下は週5日通学するWeekday Courseの学費です。
入学金 | 108,000円 |
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授業料(25単位取得) | 529,200円 |
施設設備費 | 226,800円 |
セキュリティソフト代 | 5,000円 |
初年度学費合計 | 869,000円 |
通信コースと比べると60万円以上も高い結果となりました。
私立の通信制高校全部が高いというわけではなく、登校日数を増やすと高くなるんです。
N高の場合は、週1日通学コースなら437,000円という金額で通うことができます。
登校日数の多さを選ぶか、授業料の安さを選ぶかで迷う保護者も多いようです。
専門課程の授業を受講した場合
登校日数以外にも、漫画や声優など専門的なジャンルの授業を受けたり、専門課程を学べるコースをオプションでつけたりした場合は授業料が大きく変わります。
だいたい通信コースに30万円程度は上乗せされるようです。
私立の通信制高校に通うメリット5選
しかしこれだけ学費が高いイメージがあっても、私立の通信制高校は人気があります。
以下では私立の通信制高校メリットを5つご紹介します。
- 登校日数が自由に選べる(最低年3日)
- 専門授業が学べる
- サポートが充実している
- 卒業率が高い
- 学校選びの選択肢が広い
学費で私立の通信制高校への進学を悩んでいる人は是非確認してみてください。
登校日数が自由に選べる(最低年3日)
公立の通信制高校は、登校日数は少ないものの、スクーリングやテストの日程は定められています。
一方私立高校は、学校によって登校日数を選ぶことができます。
週1日~5日など、自分のペースに合わせた学習を進めることができるのが特徴です。
週に数回通うのも難しい方は、年に3日間の泊まり込みのスクーリングがある通信制高校を選択しましょう。
自分の都合に合わせて、最低限の登校日数で高卒資格を取れるには大きな特徴ですね。
専門授業が学べる
公立の通信制高校のスクーリングは、全日制高校と変わらず通常の授業を受けます。
私立の通信制高校の場合、学校によっては通常のスクーリングに加えて、専門的な科目を学べることや資格を取得するためのコースがあります。
大学受験を目指している方は、「大学受験用のコース」や美容師を目指している方は「美容師コース」など様々。
専門学校や大学の提携している高校も多いため、関心や興味がある分野を専門的に学ぶ環境が揃っているのが私立の通信制高校の特徴です。/p>
明確な夢を持っている方や学校外での活動に力を入れたい方は、私立の通信制高校がおすすめでしょう。
サポートが充実している
私立の通信制高校は、様々なサポートが手厚いことも特徴です。
一方、公立の通信制高校では、心理的サポートがないわけではありませんが、カウンセラーが常駐している高校はあまりありません。
私立の通信制高校の場合は、カウンセラーが常駐している場合や決まった曜日は学校にいます。
学習の相談や精神的な相談など幅広く対応してくれるので、少しの不安もすぐに解消したい方は私立の通信制高校を選びましょう。
卒業率が高い
私立の通信制高校は、公立の通信制高校と比べて卒業率が高い傾向にあります。
理由としては、支援力の差にあります。
公立と私立の先生にさほど違いはありませんが、教員数の数も圧倒的に違うので、人の数は支援力に直結します。
さらに通信制高校は、全国に提携しているサポート校も多いので、学力不足へのフォローもばっちりです。
また公立と違い、入学のハードルが低いのも理由の一つ。
高卒資格のために、手厚いサポートを受けたい方は私立の通信制高校がおすすめでしょう。
卒業率の高い通信制高校はこちら学校選びの選択肢が広い
公立の通信制高校では、地域の自治体が運営しているため通える範囲の生徒は決まっており、学校に通える範囲でなければ入学が認められません。
しかし私立の通信制高校の場合、3つ以上の都道府県から通える「広域通信制高校」であるのが大きな特徴です。
「広域通信制高校」は、各地域に校舎がないことが多いですが、サポート校や学習センターの外部の教育機関と連携していることも。
しかし大規模な私立の通信制高校の場合は、各地域に学校所有のスクーリング施設や、宿泊施設など、スクーリングの負担を軽くする施策がなされています。
どうしても通いたい私立の通信制高校が、通える距離にない場合、サポート校やスクーリング施設が近くにないか確認してみましょう。
私立の通信制高校に通う学費以外のデメリット3選
私立通信制高校は学費が高いというイメージが強いですが、他にもデメリットが存在します。
以下では、私立の通信制高校には、学費以外にどんなデメリットがあるのかご紹介します。
デメリットは以下の2つです。
- 学校の当たり外れが激しい
- 10代の生徒がほとんど
- サポート校に通うとさらにお金がかかる
学費以外のデメリットも確認してから、利用を検討しましょう。
学校の当たり外れが激しい
私立の通信制高校は、公立の通信制高校と違って学校によって特色が異なります。
知らずに入学してしまうと、学校の雰囲気と合わなかったり授業スピードが合わなかったりとミスマッチを感じてしまうことも。
対策として、事前準備を怠らないことです。
公式ホームページの確認や資料請求、オープンスクールの活用など、学校の雰囲気や内情を知る機会を作りましょう。
学習のリズムが乱れやすい
公立の通信制高校の場合、スクーリングとテスト日程が決まっているので、生活にリズムがつけやすく学習計画も立てやすいでしょう。
私立の通信制高校の場合は、月1回の登校や年に3日など、自ら学習で計画を立てる必要があります。
公立より学習の強制力が低いために、学習に苦労してしまう生徒も。
勉強する習慣がなく不安な人は、注意が必要でしょう。
サポート校に通うとさらにお金がかかる
私立の通信制高校は、本校が遠くにあっても近くのサポート校に通えば、同様に高卒資格を取得できます。
しかしサポート校は、その親となる学校の学費も同時に払わなければいけないので、結果としてかなりの費用が掛かってしまう場合も。
サポート校は、後に出てくる「就学支援金」の対象にもならないので、サポート校を考えている方は注意しましょう。
全日制・定時制課程との比較
公立と比較すると確かに私立通信制高校は学費が高いです。
それでは同じ私立ならどうでしょう。全日制と定時制と比べると通信制高校の学費は安いのでしょうか。
全日制課程との比較
私立の全日制高校の授業料も通信制と同じくらい学校によって差があります。
平均的な金額は年間50万円程度です。
私立の全日制の場合は、授業料よりも制服の購入代金や修学旅行に費用がかかるとの声もあります。
定時制課程との比較
そもそも私立の定時制課程は非常に少ないです。東京都に唯一の私立定時制高校である駿台学園高等学校定時制の学費は以下のとおりです。
入学金 | 80,000円 |
---|---|
授業料(年額) | 144,000円 |
施設設備費 | 80,000円 |
諸費用 | 14,000円 |
諸会費 | 16,600円 |
初年度学費合計 | 334,600円 |
全日制課程と比べると安いですが、通信制課程の通信コースと比べると少し高めです。
しかし通信制課程で週5日通うのと比べれば、授業料は安めだといえます。
私立の通信制高校の学費を安くする3つの方法
学費は高くても、どうしても私立の通信制高校に通いたい方も多いでしょう。
実は、私立の通信制高校の学費を抑える方法があります。
以下では、主な方法を3つ紹介します。
- 就学支援金で学費の負担を軽減できる
- 都道府県の助成金を利用する
- 特待生を目指す
自分が減額できる対象にいるかどうかの確認をしていきましょう。
就学支援金で学費の負担を軽減できる
通信制高校のような単位制の高校は、単位ごとに授業料が計算されるので、就学支援金も単位ごとの対象となります。
公立の通信制高校の就学支援金は1単位336円ですが、公立の通信制高校の1単位の授業は175円~700円なので実質無料。
私立の通信制高校の場合、保護者の「課税所得」によって支給額が変わり、年収が590万円未満の世帯は、ほとんどの私立の通信制高校の授業料は無料になります。
世帯年収が590万以上910万円未満の場合や、支給額を上回る授業料の場合は差額が自己負担額です。
また授業料以外の備品等も自己負担になります。
授業で利用する教科書や入学金、給食費や体操服などは別途支払う必要があるので注意しましょう。
都道府県の助成金を利用する
上記の就学支援金の対象にならなかった年収590万以上の世帯を、都道府県の助成金の対象にしている場合があります。
東京の場合、東京都が認めた私立の通信制高校に限り、「授業料軽減助成金」があり、国の就学支援金と併用できる高校もあります。
この助成金を利用すれば、世帯年収590万以上910万円未満でも、授業料が実質無料も。
国の就学支援金対象外で私立の通信制高校への進学を希望している方は、都道府県認可の通信制高校も検討してみましょう。
特待生を目指す
スポーツや学力で、優秀な成績を収めている場合、学費が免除される学校もあります。
特待生の条件や対応は、学校によって異なりますが、施設利用費の免除や入学金や教材費の免除をしてくれる学校も。
スポーツや学業、音楽などの活動をしていきたいが、諸事情で全日制に行けないという方は、是非私立の通信制高校の特待生を狙ってみましょう。
まとめ:私立でも支援金を使えば通いやすい
私立の通信制高校は、たしかに公立校と比べると学費が高いです。
しかし就学支援金やさまざまな補助制度を使えば、かなり負担を減らすことができます。
また定時制や全日制と比べると、授業料自体は安いです。公立校のすべり止めに通信制高校を選ぶのも、経済的な負担を考えれば一つの選択肢かもしれません。