通信制高校には普通の子もいるの?メリット・デメリットを解説 2023.07.27
世間には、「通信制高校は不登校や普通じゃない子が通っている」「普通の子は全日制高校に行くのが当たり前」といった先入観を持つ人も少なくありません。
しかし通信制高校に通っているからといって普通ではないといったことはありませんし、実際普通の子でもあえて通信制高校を選ぶ人もいます。
そこで今回はどんな人が通信制高校に通っているのかや、通信制高校に通うメリット・デメリットについてご紹介します。
通信制高校に興味がある方はぜひ参考にしてみて下さいね。
普通の子の定義とは?
そもそも世間でいうところの「普通の子」とはどんな人を指すのでしょうか?
まず考えられるのは、「不登校の経験がない人」「全日制高校通っている人」です。
上記のイメージにつながるのは、やはりいじめなどで不登校になってしまった人が通信制高校に通うといった考えが定着しているからだといえます。
実際、通信制高校に在籍している生徒の内、約60%~70%が不登校の経験があるといわれています。
しかし不登校経験があるからといって「普通じゃない」と判断するのは早計です。
不登校の原因はさまざまあり、「学校の校風と合わない」「人間関係が改善する見込みがない」「自分の問題ではなく、周囲の環境によるもの」など人によって状況は異なります。
つまり、たまたま通っている学校や環境との相性が悪く、なじめなかっただけで、個人の問題に限定されることではないということですね。
通信制高校にはどんな人が通っているの?
通信制高校にネガティブなイメージを抱いている人もいるでしょうが、なかには自ら進んで通信制高校を選んでいる人もいます。
通信制高校には、さまざまなバックグラウンドや理由を持った人が通っています。
たとえば、スポーツや芸能活動ですでに活躍している方は勉強を両立するために通信制高校を選ぶ人もいます。
もちろん、なかには不登校や引きこもりによって自宅学習がメインの通信制高校を選ぶ人もいますが、高卒認定資格を取得するためなど何かしらの目標を持っていることがほとんど。
中卒か高卒かによって、今後の進学や就職の選択肢もまったくちがってきますからね。
つまり、普通の子が通信制高校に通うことも決しておかしなことではないということです。
普通の子が通信制高校に通うきっかけ3つ
通信制高校に進学する人の理由やきっかけは人それぞれですが、おもに以下の理由が多いとされています。
- より専門的な知識を学べるから
- 自宅学習の方が合っているため
- 大学進学率が高いから
より専門的な知識を学べるから
通信制高校に通う人の理由には、将来やりたいことが決まっており、通信制高校のほうがより専門的な分野について学べるからといったものが挙げられます。
とくに就職率の高い通信制高校では、全日制にはない在学中の資格取得のサポートやたくさんの専門分野について学べるコースが用意されていることもあります。
学校にもよりますが、たとえば美容・調理・音楽・プログラミング・トリマー・芸能などが通信制高校では学べたりします。
ほかにも、生徒が就職できるような手厚い支援をおこなっていたり、専門学校と連携を取ってプロから学べるところも。
資格を持っていなくても就職できるものもなかにはありますが、資格を持っているかいないかで給与や待遇は変わってくるのが現実です。
全日制には基本的に専門的な分野について学べるコースやカリキュラムは用意されていないので、明確な夢ややりたいことが決まっている方はほかの人よりも一歩リードできます。
自宅学習の方が合っているため
通信制高校に通う人の理由には、基本自宅で学習できるからといったものが挙げられます。
学校によっては年に定められた回数のスクーリングと呼ばれる登校日以外は自宅で学習できるところもあり、全日制で「毎日登校するのが辛い」「ひとりで勉強した方が合っている」といった方にはおすすめです。
また通信制高校には一度高校を中退した人も通っており、仕事やアルバイト、育児などをしながらでも自分のペースで学べるメリットもあります。
通信制高校は全日制高校と比較して自由に使える時間が多いため、学習以外の時間を自分のやりたいことにつぎ込んで有効活用できます。
大学進学率が高いから
一見、通信制高校と聞くと「大学に進学する人なんているの?」「最低限の勉強しか教えてもらえないのでは?」と気になる方もいるでしょう。
しかし実際、通信制高校は全日制の大学進学率とほぼ変わらないといわれています。
通信制高校によっては、難関大学や有名大学への合格実績があったり、指定校推薦枠が用意されているところもあります。
学校にもよりますが、「大学進学コース」と呼ばれる大学受験に特化したコースや、学習塾との提携によって受験対策ができるところもあるため安心です。
もし行きたい大学があるのであれば、通信制高校の合格実績などをチェックしておくと、ノウハウや情報が豊富である可能性が高いのでおすすめです。
普通の子が通信制高校に通うメリット4つ
普通の子が通信制高校に通うメリットには以下のものが挙げられます。
- 自分のペースで学べる
- 私立の全日制高校よりも学費が安い
- メンタル面のサポートが充実している
- 全日制では学べない専門的なコースがある
自分のペースで学べる
通信制高校に通う最大のメリットはやはり、自分のペースで学べるといった点にあります。
学校にもよりますが、週1日や年に数える程度のスクーリングへの参加によって単位をもらえるところもあります。
さらに登校時間も比較的全日制よりも遅い時間から始まることが多く、自宅学習がメインなので、「通学するのが面倒」「学校に行って集団で学ぶのがとにかく苦痛」といった方にはおすすめです。
通信制高校では全日制よりもひとりひとりの学習ペースや性格に合わせた対応をしてもらいやすいので、マンツーマンでの指導や相談などがしやすいのもうれしいポイント。
芸能活動やスポーツなどすでに仕事をしている方や、自分のやりたいことに時間を割くこともできます。
私立の全日制高校よりも学費が安い
通信制高校は基本的に全日制よりも学費が安いことが多いです。
とくに公立の通信制高校の場合だと3年間で10万円程度、私立の場合でも選択するコースによって変わるものの、年間30万~100万未満で通えるのでかなり費用を抑えられます。
ただし私立に関してはあくまで相場の金額となるため、もし私立の通信制高校に行きたいのであれば事前にかかる費用をチェックしておくようにしてください。
メンタル面のサポートが充実している
通信制高校は不登校出身の方の利用が多いことから、メンタル面のサポートが全日制よりも充実しているといった面が挙げられます。
さらに不登校生だけではなく、発達障害や学習障害を持った生徒に対するサポートをおこなっている学校もたくさんあります。
多くの通信制高校では、マンツーマンでの学習サポートや臨床心理士の資格を持った教師やスクールカウンセラーが多数在籍しているため、精神的な悩みや進路の相談がしやすいメリットがあります。
もし、発達障害や学習障害によって過去に孤立やいじめを経験したのであれば、メンタル面のサポートが充実している学校を選ぶことをおすすめします。
全日制では学べない専門的なコースがある
とくに私立の通信制高校には、全日制高校では学べないような専門的な分野について学べるコースやカリキュラムが用意されているメリットがあります。
たとえば、美容や調理、プログラミング、トリマー、ファッション、音楽、演技など学校によってさまざま。
なかには、資格取得をサポートしてくれるような学校もあるので、将来の就職面でも安心です。
「特に何もしたいと思うことがない」「将来やりたいことが見つからない」といった方こそ、広い分野を学ぶ機会のある通信制高校の方が向いているといえるでしょう。
普通の子が通信制高校に通うデメリット2つ
学校選びの際には、デメリットやリスクも理解したうえで決めるのが大事です。
そこでここでは、通信制高校に通うデメリットについてご紹介します。
- 学習へのモチベーションや管理が難しい
- 人と関わる機会が少ない少ない
学習へのモチベーションや管理が難しい
一番のデメリットは、学習へのモチベーションや管理が難しいということです。
全日制高校では毎日登校をして授業を受ければよほどのことがない限り卒業ができますし、同じように学校に通っている人がいるので受験やテストなどのモチベーション維持もしやすいです。
しかし通信制高校の場合は、基本的に自宅での学習がメインとなるので自分で学習時間やペース、対策、モチベーション維持なども全て自分で管理しなくてはいけません。
はじめからやりたいことや目標が決まっていたり、すでに芸能活動やスポーツなど仕事があるのであれば問題ありませんが、とくに目的などがないと厳しいかもしれません。
とくに学校に行くのがつらくて通信制高校を選んだという人は、自宅学習も嫌になってしまったり、勉強のやり方が分からなくなって途中で辞めてしまう方も少なくないと言われています。
もし自分の楽手のモチベーション維持が心配な方は、通信制高校専用のサポート校や塾などに通うか、大学進学コースや専門的なことを学べるコースを選ぶ、登校日を増やすなど工夫が必要です。
人と関わる機会が少ない
通信制高校に通うリスクやデメリットには、人と関わる時間が少ないということも挙げられます。
通信制高校は全日制と比べて登校日数が少ないだけでなく、そもそもクラス編成がない高校がほとんど。
したがって、「全日制のようなスクールライフを楽しみたい」と考える方にとってはやや物足りなく感じるかもしれません。
しかし通信制高校に通っていると自由な時間が多い分、バイト先や他のコミュニティーで人間関係を広げることができます。
もし今後の将来のためにコミュニケーションスキルを身につけたいと考えているのであれば、ソーシャルスキルが学べるコースを選ぶか登校日を増やしたり部活動などに積極的に参加してみるといいでしょう。
通信制高校でよくある質問
不良はいるの?
通信制高校に対して、不良や暗い子ばかり通っているという印象が強い方も少なくありません。
しかし実際、通信制高校は不良や不登校生ばかりというわけではありません。
先にも述べたように、通信制高校にはいわゆる普通の子と呼ばれる生徒も数多く通っています。
なかには、一度高校を中退して高卒認定資格を取るために通う社会人の人もいます。
万が一不良っぽい見た目の方がいても、通信制高校ではほとんど通学する必要がないので、廊下ですれ違ったり話しかけられること自体もほとんどありません。
全日制高校は出席しなければ卒業や進学で着ないケースがありますが、通信制高校では自分で登校する日やタイミングを事前に設定できるので安心です。
また、通信制高校を検討している人の中には、「通信制高校っていじめはあるの?」と心配される人もいるでしょう。
とくにもともと全日制での人間関係や集団生活が合わないといった人にとっては不安ですよね。
しかし通信制高校に通う生徒の中には、中学や高校でのいじめの経験から不登校になった人も数多くいるので安心です。
実際、通信制高校ではいじめはほとんどないといわれています。
なぜなら、通信制高校は基本的にクラスがなく、自分のペースで受けたい授業を受けるために登校するからです。
そのため、グループでつるむ必要もありませんし、気が合わない人と毎日顔を合わせる必要は一切ないのです。
さらに通信制高校には成人した生徒も多いので、いじめが起きにくいといわれています。
また学校によってはマンツーマンでの指導をしてもらえるところもあるため、気になる方は前もって対応可能なサポートなどをチェックしておくといいでしょう。
通信制高校にも制服はある?
全ての通信制高校に当てはまるわけではありませんが、一部の通信制高校には制服が用意されている高校もあります。
もちろん任意での購入なので少しでも費用を抑えたい人は購入しなくてもいいですが、少しでも通学のモチベーションを上げたい人にはおすすめです。
また週に5日など、登校日が多い人や高校生らしいスクールライフを送りたい人にも向いています。
制服があると私服を選ぶ手間も省けますし、なかには可愛い制服を用意しているところも!
気になる方はぜひどんな制服があるのかを見てみて下さい。
普通の子こそ通信制高校はおすすめ!
今回はどんな人が通信制高校に通っているのかや、通信制高校に通うメリット・デメリットについてご紹介してきました。
「通信制高校に通う人は普通の子じゃないのでは?」といったイメージを持った方もいるでしょうが、通信制高校に行く理由やきっかけは人それぞれです。
たとえば、身体的・精神的な問題以外にも、芸能活動やスポーツに専念するためや集団での学習が合わないなど。
つまり、普通の子であってもあえて通信制高校を選ぶ人がいるということです。
最近では通信制高校を選ぶ人も徐々に増えてきており、高校選びの際のひとつの選択肢となりつつあります。
今回の記事を読んで通信制高校に興味を持った方は、ぜひ資料やオープンキャンパスなどに参加してみてください。