生活保護世帯でも通信制高校なら金銭的負担が少なく通えます 2017.03.08
あまり知られていないですが、生活保護制度にある8種類の扶助のなかに、生業扶助という給付が存在します。
これは、最低限度の生活を保障するほかの補助とは異なり、働く能力を高めることによって収入を増やすか、自立を促すのが目的のものです。
具体的には、高校などに通う費用をまかなう高等学校等就学費、就労に役立つ技能や資格を身に付けるためにかかる費用を支給するための、技能習得費、小規模の事業を行うための資金を提供する生業費、就職が決まって働くときにかかる初期費用を支給する、就職支度費が存在します。
支援制度と学費の安い通信高校を選んでかしこく通学しましょう。
通信制高校は学費が安い
通信制高校は、自学自習が主な学習形態となっており、学費も全日制高校に比べて安いものとなっています。
また、通信制高校に通学するのに必要な諸費用は、次に述べる生業扶助の高等学校等就学費に含まれているため、低所得世帯の方は金銭面における支援を受けることが可能となっています。
自分のペースで、自分のタイミングで勉学に励むことができるので、勉強が苦手なお子様であっても無理なく勉強することができます。
また、通信制高校を卒業した場合には全日制高校と同様の高校卒業資格を得ることができます。
生活保護世帯対象の支援
生業扶助の特徴は、困窮して最低限度の生活を維持することができない世帯だけでなく、最低限度の生活をおくることができない可能性がある世帯も対象になる点です。
最低限度の生活をおくることができない可能性がある世帯は、2015年度に施行された生活困窮者自立支援法の支援対象者にもなっているので、基準よりも収入の多い生活困窮世帯も、必要に応じて生業扶助だけを受給することが可能です。
生活困窮者自立支援の現場においては、独自の制度として住宅確保給付金しか給付制度が存在しません。これにより、家計支援や就労支援の具体的な方法に困ることが多くなっています。
高等学校等就学費や技能習得費などの生業扶助を利用できるか、調べてみてはいかかでしょうか。受給が可能であれば、家計の支援や就労支援に役立つはずです。
高等学校等就学費
以前までは、低所得世帯の子供が高校に通う費用は、各家庭から支払われるか、奨学金を利用したり、働いて支払う方法しかありませんでした。しかし、2005年度から、高校に通学するのに必要な費用が生活保護費として給付されることとなりました。
この給付制度は教育扶助制度とは異なり、技能習得費に分類される生業扶助の形をとっています。
通常、生活保護の利用者に対しては、働く能力の活用が求められます。しかしながら、高校段階では、自立するための就学が優先されます。
受給対象者
対象者は、全日制・定時制・通信制高校に通う方や、中高一貫校の後期課程、高等専門学校に通う方、特別支援学校の高等科、高校に準じる専修学校・各種学校に通う方となっています。
高校に通っておらず、現在就労していない方も高校に通う際には受給対象者となります。
授業料
授業料については、授業料を支給する、高等学校等就学支援金の制度が存在しているので、一定水準以下の低所得世帯では公立高校の授業料が支給されます。
これにより、授業料に関する各家庭への負担は軽減されます。
したがって、生業扶助による授業料の支給は行われません。よって、低所得世帯の家庭の授業料以外の金銭的負担を軽減するために、「高校生等奨学給付金」が2014年度に施行されました。
この支援制度は生活保護世帯または非課税世帯が対象で、生活保護世帯で、全日制・定時制の高校に通っている場合、年額で国公立の高校では3万2300円、私立の高校では5万2600円が各家庭に支給されます。
技能習得費
技能習得費は、生活を維持するために役立つ仕事に就く際に役に立つ資格や技能を得る際にかかる費用を支援するものです。
技術系の資格だけでなく、パソコン講座やマナー講座などに通う際にも適用されます。したがって、技能習得費とは、就労を目指す際に必要と認められるものであれば支給されることになります。
支給金額
基本は1年以内で7万7000円が上限に定められていますが、自立更生や就労を促進する効果が高いものであれば、2年間にわたって1年あたり7万7000円が支給されることになります。
また、特別な事情がある場合には1年あたり12万7000円までの支給が認められています。
就職支度費
就職が確定した場合に、働く際に必要な衣類、その他諸費用をまかなうために2万9000円以下の金額が支給されます。また、それとは別に、初任給が出るまでの通勤交通費もお金が不足している場合には支給されます。
まとめ
生活保護世帯の方であっても、学費の安い通信制高校であれば金銭的負担も少なく通うことができます。その上、全日制の高校だけでなく通信制高校も多くの教育支援制度を利用することができるので金銭的負担を大幅に軽減することができます。
あなたも通信制高校に入学してみませんか。