2020年より続いている新型コロナウイルスの感染拡大は、一方でオンラインとオフラインを融合したビジネススタイルの拡大を推進し、その傾向は今後も続くと考えられます。また、働き方改革の定着によって社会全体として長時間労働が是正される方向にあり、より業務の効率化を図る必要が生じています。
2023年以降2024年にかけてこの流れは続いていくと考えられ、ITやWEBサービスはますます新しい生活の柱として重視されることになるでしょう。今後注目を集めるであろうIT関連のトレンド5選を見てみましょう。
目次
ロボティック・プロセス・オートメーション（RPA）
「ロボティック・プロセス・オートメーション（Robotics Process Automation:RPA）とは、通常人間がパソコンを使って行う定型作業をロボットが代替することで自動化するための技術を指す用語で、「仮想知的労働者（Digital Labor）」とも呼ばれます。
一般的にはRPAの開発はステップに従いアイコンのドラッグ＆ドロップの操作だけで容易に開発が行えるので、プログラミングに関する知識を必要としません。誰でも扱える利便性により、RPAを人材不足解消や働き方改革実現を目的として導入するケースが増えています。
矢野経済研究所が行った調査によればRPAの2024年度における市場規模は1520億円に達すると予測されています。導入企業は今後も増えていく見通しです。
RPAの活用例
RPAの活用で行われた業務効率化の事例としては、請求書の作成や大量の伝票の印刷、メールの自動返信と配信、データのコピー＆ペースト作業、大量のデータ収集などが挙げられます。
RPAのメリットは24時間365日、常時稼働させることが可能であるという点にあります。会社の営業時間外に稼働させておくことで従業員の業務負担を軽減することができます。人間と違い長時間労働で疲弊するという事もなく正確な処理を行うことが可能なので、ヒューマンエラーの発生を抑えることもできます。
定型作業をRPAにゆだねることで、従業員はより付加価値性の高い業務に集中することが可能です。
一方で、RPAには処理エラーを始めとする障害が発生した場合動作が停止する可能性があるというデメリットがあります。また情報漏洩防止のためのセキュリティ対策も行う必要があります。対策としてRPAの知識の他、サーバーやセキュリティに関する知識にも詳しいRPA管理者を定める必要があるでしょう。
バーチャルイベント(VRイベント)
展示会を始め、セミナーや音楽イベントといった様々なイベントをオンラインの仮想空間で開催する「バーチャルイベント（Virtual Event）は、新型コロナウイルス対策としての「三密」が提唱されたことにより、リアルでのイベント開催が難しくなったことから注目を集めました。
バーチャルイベントの実例としては展示会や学会、オープンキャンパスの他、音楽ライブやトークショーなどが行われています。2021年から2030年にかけ、その市場規模は21兆8983億ドルまで成長するという予測もあります。イベントの開催場所を問わないことから商圏拡大という視点で注目する業界が増えています。
オンラインの仮想空間でのイベントであることから、参加希望者は場所の制約を受けることなくどこからでも参加できます。これによって、これまではイベントに参加できない遠方の人も気軽に参加できるようになり、そのことから商圏拡大が狙えるイベント形式として注目を集めることになりました。
参加人数の制限を設ける必要がないこともメリットとなります。また、システムを1度構築してしまえば、次回以降に実施する場合コストを抑えて開催できるという点も大きなメリットです。
しかし、バーチャルイベントには現実のイベントの臨場感を再現できないというデメリットもあります。実際に商品やサービスに触れてもらう物理的、あるいは体感的な経験ができないという点にも注意が必要です、ながら視聴や途中退室が容易に行える分、参加者の離脱を防ぐ工夫も必要になってきます。
ビジネスインテリジェンスツール（BIツール）
膨大なデータの収集と分析予測を支援する「ビジネスインテリジェンスツール（BIツール）」は、迅速な経営判断を行うことを目的に、国内では2000年代から大企業を中心として導入が進んでいます。IDCJapan株式会社の調査によれば2020年度における市場価値は1313億2500万円と推定されており、2025年度には1846億7600万円に達すると予想されています。
消費者の行動様式の多様化が進み、経験則や感に頼る経営方針が打ち出しにくくなっている現状、BIツールの需要は増大しています。
BIツールはシステム毎に散在しているデータを集約することに優れており、各部署ごとに蓄積されているデータを集約させることでリアルタイムでマクロ視点からの状況把握が可能となり、問題の早期発見に役立ちます。会社組織全体の状況を可視化することが可能であり、迅速な経営判断を支援します。経営計画に用いるデータ作成の効率化を図ることもできます。
しかしBIツールを有効に活用するためには、分散したシステムと連携させてデータ集約を行えるよう、難しい設定を行う必要があります。設定ミスが原因で必要なデータの集約ができず、導入が失敗に終わる事例も少なくありません。こうした問題はベンダーに相談することで解消できますが、コストの膨れ上がりは免れません。
自社にとって必要な機能が搭載されているかどうかを確認する必要もあり、ツールの選択が難しいという点もデメリットとなります。
ノーコード/ローコード
ノーコード／ローコード（No-Code Development／Low-Code Development）は、プログラミングスキルがなくてもアプリケーション開発ができるツールを意味します。テンプレートをベースにドラッグ＆ドロップの操作だけでもアプリを開発することが可能となります。官公庁や自治体でもこのツールを利用して業務用のアプリの開発が行われており、注目されています。
ミック経済研究所が公表しているデータによれば、ノーコード/ローコードの実績は2019年度には1359億円だったものが2020年度には1530億円に、2021年度には1750億円と右肩上がりの成長を続けており、これは2023年度から2024年度にかけても同じ傾向が続くと予想することができます。
プログラミンが不要なので、誰でも容易にアプリケーションの開発が可能です。IT部門を持たない企業であっても業務改善アプリの作成が可能で、かつ自社開発のアプリを他のシステムと連動させることもできます。開発期間の短縮にもつながります。その一方、このツールは大規模なシステムの開発には向いていません。
プログラミングによって開発するシステムよりどうしても柔軟性に劣ることがその理由です。ツールごとに搭載機能が異なるため、必要なツールの選定に時間がかかることもデメリットとなります。
サスティナブル
また2015年の国連サミットで決定された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、いわゆる「SDFs」を受け、IT業界でもサスティナブル（持続可能な社会）を意識した技術開発や業界改革が強く意識されており、これも2024年以降のIT関連の大きなトレンドになっていくことが予想されます。
いかがでしたでしょうか？2024年のITトレンドを踏まえて、キャリアプランに新たなスキルと経験をプラスして、自分の市場価値を高めてください。
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