建設業は人材確保が困難な状況です。

建設業の8職種に対して実施された「建設労働需給調査結果」(令和6年1月実施)によると、全ての職種で労働者が不足しています。

では、どうすれば人手不足が深刻な建設業で人材確保ができるのでしょうか。

今回は建設業で人材確保する方法を徹底解説します。

この記事の結論
  • 建設業で人材確保するには、業務を効率化し、待遇を改善する必要がある
  • 週休2日制を浸透させ、ワークライフバランスを向上させることで、若者にとって働きやすい業界にする必要がある
  • 人材不足の原因は「長時間労働」「働き手の高齢化」「需要が増えている」

※国土交通省 不動産・建設経済局 建設市場整備課

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建設業で人材確保する方法

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建設業界では、人手不足が深刻な問題として挙げられています。

この人手不足を解消するためには、従業員の待遇の見直しや業務効率の向上など、複数のアプローチが必要です。

以下に、建設業で人材を確保する9つの方法について解説します。

建設業で人材確保する方法9選
  1. IT技術を導入して業務効率を上げる
  2. 従業員の待遇を見直す
  3. 女性が活躍できる職場にする
  4. 社内制度を整備する
  5. 人材育成に取り組む
  6. 国の取り組みを活用する
  7. 居心地の良い職場作りを心がける
  8. 自社情報を積極的に発信する
  9. 有料求人媒体の利用も検討する

IT技術を導入して業務効率を上げる

建設業で人材確保するには従業員の待遇を改善する必要がありますが、業務効率が悪いと、どうしても週休2日制の導入や残業時間の削減は難しくなります。

業務効率を上げるには、IT技術の導入がおすすめです。

業務効率アップにおすすめのツール
  • 勤怠管理システム:従業員の勤怠状況をリアルタイムで把握し、労働時間の管理を効率化します。これにより、残業時間の削減や労働時間の適正化が可能になります。
  • プロジェクト管理ツール:工事の進捗管理をデジタル化し、スケジュールの適正化やタスクの効率的な配分を行えます。プロジェクトの進行がスムーズになります。
  • ドローンや3Dスキャナー:測量や現場の状況把握を迅速に行えるようになり、現場作業の省力化や安全性の向上に繋がります。

たとえば、建設・工事業に特化した勤怠クラウドサービス「勤CON管」や、建設クラウドERP「ガリバー匠」などのツールがあります。

従業員の待遇を見直す

建設業で人材確保する方法の中でも、とても重要なのが、従業員の待遇を見直すことです。

給料を上げる

同じエリアの競合他社と自社の給料を比較し、その上で適正な水準に給与を設定しましょう。

給料が低いと、建設業界で従業員を募集するときの競争力が下がります。

良い人材がいても、別の会社を就職・転職先として選んでしまうでしょう。

今働いている従業員のモチベーションを高め、離職を防ぐためにも、適正な給与体系の確立が重要です。

週休二日制を導入する

最近の若年層は、ワークライフバランスを重視する傾向があります。

ところが建設業界は、他の業界と比較して休日日数が少ないです。

週休二日制を導入できていない会社もあります。

そのため、「労働時間に対して賃金が見合わない」と感じ、建設業界への就職や転職をためらってしまうのです。

長期的な労働者の定着を促すためにも、週休二日制の導入を検討することは、非常に重要となります。

残業時間を減らす

適正な工期設定や業務の効率化により、残業時間の削減を目指しましょう。

長時間労働を減らせば、労働環境全体の質の向上にも寄与します。

建設業界は「体力的にきつい」と言われることも多いですが、残業時間を減らせば、従業員が健康を維持でき、長く働きやすくなるという点もメリットです。

福利厚生を充実させる

従業員が安心して長く働ける環境を整備するためには、福利厚生の充実も重要です。

福利厚生の例
  • 健康診断
  • 資格取得支援制度
  • 社宅提供 など

従業員が実際に利用しやすい福利厚生を提供しましょう。

女性が活躍できる職場にする

建設業界は昔から男性が多いですが、女性が活躍できる環境を整備すれば、業界のイメージ改善と人材確保につながります。

女性が活躍できる職場にするには
  • フレキシブルな働き方の導入:時短勤務やリモートワークなど。ライフスタイルに合わせた働き方を可能にします。
  • 安全で快適な職場環境の提供:女性専用の更衣室やトイレを設置。
  • キャリア形成支援:女性がリーダーや管理職に就けるよう、メンターシップや研修プログラムを充実させます。

社内制度を整備する

建設業で人材確保する方法として、社内制度の整備も重要です。

社内制度が整っていない会社に入社すると、「頑張っても昇給しないのではないか」「適正な評価を受けられないのではないか」「ブラックなのではないか」と不安を感じる求職者は多いです。

社内制度を整備し、きちんと従業員の頑張りを評価する会社であるとアピールしましょう。

整備すべき社内制度
  • 評価制度:公平かつ透明性のある評価制度を確立し、パフォーマンスを正しく評価します。
  • 昇給・手当などの報酬制度:持っている資格や成果に応じた報酬体系を整え、従業員のスキルアップとモチベーション向上を図ります。

今働いている従業員のモチベーション向上や長期勤務も促進できます。

人材育成に取り組む

求職者はしっかり面倒を見てくれる会社に入りたいと感じます。

人材育成を積極的におこなうことも、建設業で人材確保する方法として重要です。

もちろん日頃から先輩が若手にきちんと仕事を教えてあげることも重要ですが、それだけではなく、会社が費用を負担するスキルアップの機会を積極的に設けるべきです。

スキルアップの機会が少なく、毎日同じような仕事を繰り返しているだけだと、従業員は「このままでいいのだろうか」「将来が不安」と感じ、転職を検討してしまいます。

人材育成の例
  • 技能別の教育プログラムを実施する
  • メンター制度を設ける
  • 資格取得支援制度を設ける(テキスト代、受験費用などを会社が負担する)

    国の取り組みを活用する

    建設業で人材確保する方法として、国の取り組みの活用が挙げられます。

    当然ながら、国も建設業が人手不足であることを把握しています。

    国土交通省や厚生労働省は、建設業の人材確保に向けて、多様な施策を展開しているのです。

    建設業の人材確保に向けた国の支援
    • 中小建設会社の事業主を対象とした、雇用管理制度導入セミナーの開催。
    • 安全管理の研修・セミナー。たとえば国土交通省による、熱中症対策の講習会や、厚生労働省による墜落・転落災害防止対策普及のための研修会。
    • 各種助成金。

    国や地方自治体が提供する支援プログラムや助成金を最大限利用し、建設業の人材確保に繋げましょう。

    例えば、技能実習制度や特定技能外国人の受け入れを通じて、即戦力となる外国人労働力の確保を視野に入れることができます。

    建設業界の人材確保に向けた国の助成金

    建設業界の人材確保に向けた国の助成金には、次のようなものがあります。

    国の助成金の例
    • 工業高校等で講座を開催する経費や、現場見学会の開催にかかる経費の助成金
    • 技能訓練にかかる経費や、訓練期間中の賃金の助成金
    • 賃金や研修などの雇用管理制度に対する助成金
    • 65歳以上が働きやすい雇用環境整備を行う企業に対する助成金

    居心地の良い職場作りを心がける

    人材の確保と定着のためには、働きやすく、居心地の良い職場環境の整備が欠かせません。

    例えば、社内コミュニケーションの活性化を図るための社内イベントの開催や、昔ながらの体育会系な職場環境の見直しなどがあります。

    また、従業員の意見を聞くためのフィードバックシステムを設置し、改善点を常に模索することも重要です。

    新人に対して積極的に声をかけるといった、普段の気配りも重要となります。

    自社情報を積極的に発信する

    建設業界の魅力を伝え、新たな人材を引きつけるためには、自社の情報をインターネットで積極的に発信しましょう。

    求職者はよくわからない企業に入社することに対して不安を感じるものなので、インターネットで自社の情報をたくさん発信することは、とても重要です。

    特にSNSを利用した情報発信は、現代の求職者、その中でも若者にリーチしやすい手段です。

    SNSでは、工事現場の様子や、社員が取り組んだ工事の成果、企業文化や働きがいについて発信します。

    求人媒体では伝えきれなかった自社の魅力や雰囲気を、写真や動画をふんだんに使いながらアピールできます。

    SNSは無料なので、「求職者の興味を引きたい」「企業に良い印象を持ってもらいたい」という企業は、ぜひ利用しましょう。

    有料求人媒体の利用も検討する

    人材確保のためには、無料の求人求人媒体だけでなく、有料求人媒体の利用も検討しましょう。

    無料の求人媒体は、文字数や写真掲載に関する制限が厳しいため、どんな仕事なのか・どんな会社なのかといったことを具体的に伝えきれず、求職者によくわからない求人という印象を持たれがちです。

    有料の求人媒体なら、自社の魅力をアピールしやすく、より質の高い応募者を獲得できる可能性があります。

    中には求人広告のデザインや文言を専門家と共に考えることができ、企業の魅力を効果的にアピールすることが可能な有料求人媒体もあります。

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    また、建設業界に興味を持っている求職者が見ているので、有資格者や経験者、未経験だが建設業界にチャレンジしたいという層にリーチしやすいです。

    さらに一般的な求人サイトと違って、求職者はGATEN職に登録しなくても企業へ応募できるようになっています。

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    建設業で人材不足が起きている原因と課題

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    そもそもなぜ建設業で人手不足が起きていて、人材確保が困難なのでしょうか。

    建設業で人手不足が起きている原因
    • 長時間労働が常態化している
    • 働き手の高齢化
    • 需要が増えている

    長時間労働が常態化している

    建設業界は休日日数が少ない関係で、労働時間が他の業界よりも長いです。

    国土交通省は「最近の建設業を巡る状況について」の中で、以下のように述べています。

    長時間労働が常態化する中、その是正等が急務。

    仕事が大変でも、頑張って働けば相応の報酬を得られる時代もありましたが、現代では事情が変化した関係で、「ガツガツ働くのではなくプライベートを重視したい」と考える若者が増えています。

    つまり現代の若者は、長時間労働になりがちな建設業に魅力を感じにくいです。

    長時間労働が改善されなければ、人手不足の解消は難しいでしょう。

    働き手の高齢化

    建設業界における人手不足の主要な原因の一つは、労働力の高齢化です。

    国土交通省は同資料の中で、以下のように述べています。

    建設業就業者は、55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題。」

    「現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化する中、限りある人材の有効活用と若者の入職促進による将来の担い手の確保が急務。」

    建設業に従事する労働者のうち、55歳以上の割合が35.5%というのは、他の産業に比べてかなり高いです。

    高齢の労働者が退職すると、その経験や技術の継承が困難になり、業界全体の生産性や競争力の低下にもつながりかねません。

    需要が増えている

    建設業界の人手不足は、建設需要の増加も関係しています。

    建設需要の増加の背景
    • 近年の経済成長
    • 大規模な公共プロジェクト
    • 2025年大阪・関西万博
    • 2027年のリニア中央新幹線の開業 など

    これらのプロジェクトは、短期間に集中して多くの労働力を必要とするため、既に人手不足に悩む建設業界にとってはさらなるプレッシャーとなっています。

    また、建設技術の進歩により新たなスキルが求められるようになり、現有の労働力では需要に応えきれない状況も生じています。

    需要の増加は経済的な好循環をもたらす一方で、人手不足を解消するための新たな取り組みが必要です。

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    建設業で人材確保する方法の中でも効率化と待遇改善が重要

    建設業で人材確保する方法と、人手不足に陥っている原因を解説してきました。

    建設業で人材確保するには、業務を効率化し、それを賃金アップや長時間労働のない働き方につなげていくことが重要です。

    また、国も建設業の人材確保に向けた取り組みをおこなっています。

    これらの制度や助成金も、必要に応じて活用してください。

    「GATEN職」をはじめとした、建設業に強い求人媒体も利用して、人材確保ができない悩みを解消しましょう。

    建設業界や建築・土木エンジニアの転職市場予測はどうなっているのか?