氷河期世代(ロスジェネ・失われた世代)とは

1993年から2005年まで続いたバブル崩壊後の不景気により、社会的に就職が困難だった10年間を「就職氷河期」といいます。そして、その頃大学を卒業して新卒で就職活動の期間を迎えた1970年から1984年生まれの人たちを「氷河期世代」と呼んでいます。

バブル崩壊後の経済の停滞は20年以上にわたって続き、「失われた20年」といわれたことから「失われた世代」「ロストジェネレーション世代(ロスジェネ世代)」などとも呼ばれています。バブル景気のきっかけとなったのは米国と締結したプラザ合意です。日本は円安を武器に輸出産業で大きく黒字を出していました。一方、米国は大幅な貿易赤字を抱え、そのほとんどが対日本によるものでした。

米国は先進5か国(日・米・英・独・仏)が集まりニューヨークのプラザホテルで行われた会議で、ドル高是正のため協調行動への合意を発表しました。これがいわゆるプラザ合意です。この合意によって日本は急速な円高が進行し、一時的な不景気に陥りました。

日本銀行はこの不況を打破するため、低金利政策を打ち出し金融緩和を行いました。これにより企業はお金を借りて株や不動産へ積極的に投資をするようになります。不動産価格や株価が高騰し、景気拡大がもたらされました。これがバブル景気です。

このバブル景気は金融政策の転換によって終焉します。1989年に公定歩合(日銀が民間銀行へ貸出をするときの基準金利のこと)が段階的に引き下げられると株価は下落し、1990年の総量規制(貸金業者から借り入れできる総額に上限の規制を設けること)が実施されたことで不動産価格も大きく値を下げました。その結果、「失われた20年」と呼ばれる不況に突入しました。

多額の借り入れをしていた企業は次々に倒産し、リストラや給与カットの他、新入社員の採用も大きく減少しました。この時期が「就職氷河期」と呼ばれ、「氷河期世代」は非常に厳しい就職活動を強いられました。

今なお負け組として苦境に立たされる人たち

就職氷河期世代と呼ばれる人たちは、新卒時に正規雇用での就職を希望したにも関わらず、不本意に非正規雇用や無業となった人の割合が高い世代です。

氷河期世代とされる世代はおよそ1,689万人とされています。そして、中高年となった今でも正規雇用への転換ができず不本意に非正規雇用で働いている人たちは2018年時点でおよそ50万人いるといわれています。さらに、就職を希望しているものの、さまざまな事情により求職活動を行っていない長期無業者などを含む非労働力人口は219万人もいます。

新型コロナウイルス以降のデータで見るとより深刻さが浮き彫りになっていることがわかります。若い世代でも非正規雇用の増加は問題になっています。とはいえ、若者世代と比べて氷河期世代がより困難を抱える理由として、本人とその親世代が高齢化していることがあげられます。

「中高年引きこもり」「子ども部屋おじさん」などと呼ばれ社会問題となっている40代から60代の引きこもりでは、特に氷河期世代の割合が突出しているともいわれています。

中高年の引きこもり当事者の25.5%は40歳から44歳です。このうち約33%は大学卒業と就職を迎える20歳から24歳のときに初めて引きこもりになったと答えています。引きこもりのきっかけが就職活動によるものだったということは想像に難くありません。

すでに、氷河期世代に当たる50代となった引きこもり当事者と80代となった親が抱える貧困の問題は「8050問題」として提起されるようになっています。親の収入や年金に頼って暮らしていた引きこもり当事者が、高齢となった親の死によって収入が絶たれ生活ができなくなってしまうという事態が起きているのです。

氷河期世代が注目されるようになってきたのは、氷河期世代の問題が当事者だけの問題ではなくなってきたからという皮肉な現状があります。結婚をする人や出生数が減少し少子化が深刻化していることもその一つです。非正規雇用の増加により、経済的余裕のない人が増えたことが原因として考えられます。

さらに、働く人の不足も問題となっています。氷河期世代の中心層にあたる40代は、本来キャリアを積んで活躍しているべき世代です。とはいえ、実際にはその世代は就職氷河期で採用を絞られたため極端に少ないのです。この世代の人材不足は多くの企業が抱えています。

就職氷河期世代支援が始まっている

内閣府は2019年6月「経済財政運営と改革の基本方針2019」について、経済財政諮問会議での答申ののち、閣議決定しました。このうち、所得向上策推進の一環として就職氷河期世代支援プログラムについて触れています。

この中で、今なお苦しい状況にある氷河期世代のうち正規雇用を希望しているものの不本意に非正規雇用の職に就く人と、さまざまな事情により求職活動を行えない人たちや社会参加に向けての支援が必要な人たちを対象とし、3年間で30万人の正規雇用者を増やすことを目指す基本認識を提示しました。

また、このプログラムの期間内に実態やニーズを把握し、対象者に行き届く支援体制を構築することを目指すとしています。施策の方向性として、切れ目のない支援や状況し合わせた寄り添い支援を掲げ、官民が一体となって支援することなどが盛り込まれています。

このプログラムに基づいた行政サービスの一つとして、ハローワークに就職氷河期世代向けの専門窓口が設置されました。窓口では、社会保障制度からキャリアコンサルティングまで知識のある職員がチームを組んで一貫した支援を行い、氷河期世代限定求人の紹介、応募書類の添削や面接指導をはじめ氷河期世代向けのセミナーなども開催しています。

さらに厚生労働省は、就職氷河期世代活躍支援プランのサイトを作成しています。非正規雇用者の転職や働きたいのに働けない人の就職準備、引きこもり当事者の社会参加に向けた支援など、各々の状況に合わせた支援につながることができるようわかりやすく構成されています。

まだ少数ではあるものの、氷河期世代に限定した公務員の採用も実施されています。地方自治体では事務職のほか、保育士や土木技師、建築技師など専門職での募集も行われています。今後、ニーズを踏まえて氷河期世代の中途採用への取り組みは拡大していくとされています。

民間の転職サービスの動向は?

民間企業については氷河期世代の受け入れ機会の増加に向け、環境整備の施策が実施されていくことになっています。トライアル雇用助成金の年齢要件の引き上げや、非正規雇用を繰り返す人を採用した企業への助成金対象者の拡充などの企業に向けた施策により、採用機会が増えることが期待されます。

ただし、労働施策総合推進法によって、年齢による差別を防ぐ観点から募集・採用時に応募者の年齢を制限した求人は原則として禁止となっています。そのため民間の転職サービスでは氷河期世代限定の求人を探すことは難しいでしょう。とはいえ、ハローワークにおいては例外的に解禁されており、今後民間の転職サービスでも同様の求人も可能とすることについて検討されています。

また、民間企業が個別に出している求人については氷河期世代を対象にしたものも出てきているようです。今後の転職サービスの動向に期待しつつ、そうした求人の情報収集にも注目してみると良いでしょう。

官民に限らず、支援や採用の機運が高まっている今だからこそ、もう一度希望をもって敗者復活の転職先を探しに一歩踏み出してみませんか?

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