年収アップを理由に転職を決意する人も多いですが、現実は甘くはありません。転職して年収アップに成功した人はほんの一握りです。

ここでは、どのくらい年収アップできるのか、相場や平均などをまとめました。年収交渉の方法やコツ実際に年収アップした人の割合なども解説していきます。

年収アップを目指して転職活動をしている人は、ぜひ記事を役立ててください。

目次

転職で年収アップの相場と、アップした人の割合はどれくらい?

転職した4割以上の人が年収アップ、平均相場は52万円以上

年収アップに成功した人の半分以上が3割未満

厚生労働省が実施した、平成27年の転職者実態調査委において、賃金が転職によりどのように変化したかを調べた結果、給料が「増加した」が全体の40.4%、「減少した」が36.1%、「変わらない」が22.1%となり、転職したうちの約4割の人が年収はアップしたと回答しています。

年収が増加した年収が減少した年収は変わらない
全体平均40.4%36.1%22.1%
男性平均38.0%37.3%23.0%
女性平均43.6%34.5%20.7%
正社員43.0%33.3%22.8%
正社員以外の雇用形態33.7%45.1%19.4%

しかし、年収がアップしたと回答している40.4%のうち、「3割以上増加した」と回答した人は8.9%「1割以上3割未満の増加」が18.6%、「1割未満の増加」が12.9%となり、年収がアップしたとしても、それほどの増加がみられないということがわかりました。

3割以上増加1割以上3割未満1割未満
全体平均8.9%18.6%12.9%
男性平均8.0%18.2%11.8%
女性平均10.2%19.2%14.3%
正社員9.2%20.1%13.7%
正社員以外の雇用形態8.6%15.0%10.1%

出典:厚生労働省 平成27年転職者実態調査の概況

年齢が上がるごとにアップ額が上昇

求人情報サイトdodaが、転職後の年収アップ額とアップ率を年齢別に調べた調査では、年収アップに成功した人の平均相場が50万円以上であるという結果になりました。

dodaの調査では、25~29歳の年収アップ額の平均相場が52万円30歳以上では58万円となり、年齢が上がるにつれアップ額は上昇する傾向にあるということがわかりました。

出典:dodaなるほど!転職ガイド 転職で年収アップするのはこんな人年収アップ成功者に見る傾向と対策

では、年収がアップした人はどのようにして実現したのでしょうか。例を紹介します。

福利厚生を含めて事実上の年収アップ

前職と基本給に大差はないものの、社員だけが使用できる無料の宿泊施設があったり、家賃補助を8割負担してもらえたりと、手厚い福利厚生のおかげで結果的に手取りが前職を上回る結果になったという人もいます。

成長率の高い企業への転職で賞与アップからの年収アップ

年収に大きく影響を与えるのが賞与(ボーナス)の金額です。

賞与は基本的に支払う・支払わないは企業が決める、支払義務のないものですから、企業の業績に依存している不確定な年収アップ要素だと言えます。

前職の企業の業績が芳しくなく、賞与がカットされたり支給されない年があった人は、成長率が高く賞与支給が確実な企業に転職をして、賞与分の年収額がアップしたという人もいます。

転職で年収アップした人が行った交渉方法

希望年収を明確にすることが給与交渉の第一歩

年収交渉には具体的な金額を提示

転職では年齢が上がるにつれて即戦力を期待されるので、キャリアやスキルのアピールがより重要となります。それに加えて、希望する年収額を明確に説明し、妥当な落とし所を決めて交渉することが大切です。

年収交渉の際、「どれくらいならOKか?」という伺いを立てるよりも、自分から「年収は〇〇〇万円でお願いします」と言えるほどの具体的な金額を提示できた方が交渉が進めやすいものです。現在の給料の内訳や、なぜその金額を希望するのかを明確に伝えられるようにしておきましょう。

希望年収が妥当かどうかしっかり検討しておく

希望年収が妥当な金額であることを、交渉前に確認しておきましょう。転職によって福利厚生やその他の条件も変わってくるので、現職との違いなどを見極めたうえで、どの程度の金額を提示するかの目安にしてください。

なお、転職先の業種における相場があるため、金額が大きく逸脱していないかもチェックすべきです。

自分が投資対効果のある人物だという、人材価値をアピール

企業側からすれば、年収を上げるならそれなりの働きをしてもらわなければ納得できません。

たとえば、企業が3人の社員を動員して行っているプロジェクトを、1人で動かせるなどの具体的な価値があると分かれば、年収アップを容認する企業もあります。

また、転職においては即戦力になれる力が必要とされます。入社後に教育期間を長く設けなくても、企業に利益をもたらすほどの働きができるような、キャリアやスキルがあることを具体的な経験談を裏づけてPRすれば年収アップも実現できます。

自分が投資対効果のある人物であるというアピールを行うためにも、自分のスキルと実務経験を明確に把握し客観しできるようにしておきましょう。

年収交渉を転職エージェントにサポートしてもらう

転職を転職サイトなどを経由して自分で行う場合、ここまで紹介してきた年収アップ率を上げる様々な作業や手続きを自分ひとりで行わなければなりません。言い出しにくいことも自らの手で行わなければならず、交渉事が苦手な人にとっては苦痛です。

しかし、転職エージェントを利用すれば、言い出しにくいお金に関する話もすべてプロのキャリアコンサルタントが行ってくれます。希望年収とキャリアのバランスをとりつつ適正な額で交渉してもらえるため、非常に効率的です。面接の相談もできて企業の雰囲気なども教えてくれるので、自分に合った会社選びをすることも可能です。

さらに、前述した厚生労働省の調査では転職で年収アップした人は40.4%でしたが、転職エージェントを利用して年収がアップした人は66.6%以上います。

転職で年収アップの確率を倍にするコツとは?

希望年収を達成できる求人を見つけるのが最重要

高年収を狙うなら、大手企業や外資系企業など給与水準の高い会社を選ぶことが最も手っ取り早い方法です。

ただし、このような給与水準の高い会社は、元々が高年収なために、積極的に年収交渉に応じてくれるというわけではありません

そのため、交渉に時間がかかってしまいがちです。円滑な年収交渉を実現するためにも、希望年収額とその根拠を答えられるようにしておきましょう。

給与形態が年俸制の求人は避けるべき

転職によって年収アップを期待する場合は、求人票に記載されている給与形態をよく確認しましょう。

給与形態が年俸制(裁量労働制)の場合、残業代も見込み額で含まれているため、それ以上の年収になることは見込めません。

それよりも、残業代がその労働時間に対して支払われる月給制の方が、実際の時間外労働した分支給されるので、結果的に年収は高くなります。

好条件の非公開求人を紹介してもらう

転職活動を行う上で重要なのは、より良い条件の会社を1つでも多く見つけて応募することです。

エージェントは誰でも見られる公開求人以外に、独自で保有している非公開求人が多数あります。非公開求人には優良企業や、好条件の求人が含まれていることが多いため、エージェントを利用することで自分の希望する条件の会社や求人を見つけられる可能性が格段に上がります

非公開求人が業界最多のリクルートエージェント

リクルートエージェント

リクルートエージェントは、転職成功実績No.1の総合型転職サイトです。独自に保有している非公開求人は約20万件もあり、希少価値の高い求人も多く含まれています。

非公開求人は公開求人よりも年収などの待遇面において恵まれていることが多く、利用者の多くが年収アップしています。リクルートエージェントに登録している人しか応募できないため、内定が決まりやすいです。

各業界事情に精通した470名以上のキャリアアドバイザーが、丁寧なキャリアカウンセリングであなたの経歴・スキル・実績を把握し、希望に沿った求人を紹介してくれます。また適切な年収額を提示して、可能な限り年収アップを図ってくれます。

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女性が年収アップ転職するなら、女性が活躍している会社を選ぶこと

女性はライフイベントによるキャリアチェンジなども考えられるため、年収アップは企業選びが特に重要です。そのため、女性の働き方に理解のある会社かどうかを見極める必要があります。

一番わかりやすいのは、女性の管理職が活躍しているかどうかです。女性を管理職に置いているということは、女性に対する評価体制が整っているということですから、そのような企業を選ぶことで年収アップも期待できます。

営業職であれば、女性の海外出張なども頻繁にある企業

営業職は、働き方次第では年収アップにつながりやすい仕事です。その中でも特に海外出張の仕事が女性に回ってきやすい企業は、女性でも年収アップが実現できます。

海外出張は渡航費・宿泊費などの諸経費は会社負担で、それとは別に日当が1日あたり10,000円つくという企業もあります。

このような高待遇であれば、海外出張をすればするほど、性別に関係なく年収アップにつながります。

転職で年収アップするには資格の「有無」よりも、「使える」資格かどうか

資格はたくさんあっても年収アップにはつながらない

転職で年収アップを実現するためには、資格をたくさん持っていれば有利だと思っている人も多いでしょう。しかし、実際はたくさん資格を保有していても、持っているだけではその資格の価値は伝わりません

希望職種や業界に対し、どのように有効な資格であるか、その資格を活かして実績をおさめた経験談などから伝えることが大切です。

さらに、その資格より上級の資格を取得する予定があるのであれば、それも伝えておくと年収アップにつながりやすくなります。

年収アップにつながりやすい資格1.英語関連の資格

汎用性が高く、実用性も高いのが英語の資格です。

TOEICの中でもスピーキングのスキルが実証できるTOEIC Speaking Testや、TOEIC S&W(Speaking & Writing)などの資格において、最近でも高スコアを有している場合は、即戦力として「使える」資格としてみなされるため、年収アップにつながりやすくなります。

年収アップにつながりやすい資格2.USCPA(米国公認会計士)

経理や財務企画などの経験がある場合、USCPA(米国公認会計士)も年収アップにつながりやすい資格であるため、おすすめです。

外資系に転職する場合、日商簿記や公認会計士といった日本ではトップレベルに有名な資格でも、採用担当者が外国人である場合、その有用性やブランドは認識されにくいものです。

一方でUSCPAは世界的に認知度の高い資格ですから、所有しているだけで転職者のバックボーンが透けて見えるほど有用性の高い資格です。

転職で年収アップを希望する理由とは?

働き盛りの30代に特に多い!現職への不満や待遇の改善を望むケ―ス

30代以降になると、仕事を進める上での知識やノウハウを身につけて自信が持てるようになってきます。

仕事に慣れてスキルが身につき始める年代になると、周囲の社員と比べて実力の差を顕著に感じます。スキルを磨いてきた人にとっては、会社側の評価システムによって正当に評価されていないと感じる部分が少なからず出てきます。

また、仕事の経験を積み次のステップに進みたいと考える人であれば、より正当な評価をしてくれる環境を望み始め、転職を検討するといった流れになりやすいと言えます。

異業種の会社や評価基準が異なる会社であれば、大幅な年収アップにつながる可能性もあるため、転職を検討することに意義があります。

年収アップを希望するきっかけはライフスタイルの変化にもあり

転職を希望する理由の1つにライフスタイルの変化があります。

結婚し、子供が生まれるなど、家族が増えることで、一人暮らしとは違って何かとお金が必要となる場面が増えてきます。家の購入や教育費などの支払いを考慮すると、現状の年収では足りず、もっと収入を増やしたいと転職を希望する人は多いです。

また、親の介護、家族間の事情など生活環境の変化がきっかけとなり転職を考える場合もあります。家族間で自分の役割が変化してくることが、年収アップを希望する強い動機となるのです。

年収アップに成功するためには

転職で年収アップを優先事項とするならば、やみくもに年収額だけ追いかけるのではなく、根拠をもって希望年収額を決めて先方の期待に応えていけるラインを明確にすることが肝要です。

また、あえて異業種をターゲットにすると、年収の評価基準が異なることから年収アップにつながる可能性もあります。

年収額を明確に決めることがポイント

年収は高ければ良いというものでもありません。転職における採用では、先方は即戦力を期待しますので、その期待値に応える必要があります。希望額を提示する際の根拠となるスキルや実績、強みを明確にしておくと交渉がしやすくなります。

また、転職先の業種や職種における年収額の相場も考慮に入れると、より現実的な落とし所が見えてきます。エージェントにも相談することで、より客観的な判断をすることが可能となりますので活用していきましょう。

異業種への転職で年収アップする場合も

業種の違いによって年収の算定基準が異なるケースもありますので、培ったスキルを生かせる異業種への転職を検討する場合があります。この場合、転職プランに事前に組み込むことで、よりキャリアアップをしていくことも可能となります。

異業種であっても実力を評価する企業に転職することで、大幅に年収がアップするケースも少なくありません。異業種であっても保有するスキルによっては、高評価を得られるケースがあります。たとえば、営業職であれば提供する商品が変わっても、本質的な手法が強みとなります。

面接の場面で心得ておくべきポイント

希望年収は面接の前に、あらかじめ希望額を明確な根拠のもとで決めておくと良いでしょう。なんとなく決めたのではトータルでは損をしたり、過渡な年収額となり、それに見合った期待をされることが負担となってしまう可能性もあります。実力以上の過渡な年収額が提示された際には、断る勇気も必要です。

年収の希望額は事前に明確にしておく

もらえるだけ欲しいというスタンスで臨むのはリスクが伴います。年収アップに見合うだけのパフォーマンスが発揮でき、先方の期待に応えられることを明確にすることが重要です。転職しようとしている業種や職種において、適切な額となっているのかも考慮しましょう。

また、単純に額面だけでの金額でなく、現職を辞めることで失われるベネフィットを検討しておきます。特に住居費補助やその他の福利厚生によって得られていたメリットが失われることも考慮するべきです。

応えられない期待は断る勇気も必要です

過渡な期待や高い報酬が提示される場合は、飛びつくのではなく、じっくりと検討すべきです。高年収と期待値は比例することに留意してください。期待されるパフォーマンスに応えられるスキルと経験があることが明確に説明できない場合は要注意です。

まとめ

転職して年収アップを実現した人は以下ポイントを押さえています。

福利厚生やボーナスなどを含めて年収アップを狙う
自分の実績やスキルに見合った希望年収を明確にして交渉する
業務において使える資格を持っている場合は積極的に伝える

また、希望年収を達成できる大手企業や外資系企業などの求人を選び、年俸制の求人は避けた方が良いです。

自分で直接応募するよりも転職エージェントを介して転職した人の方が年収がアップしやすいので、自分で交渉する自信がない人はおすすめです。