個人事務所に雇われている税理士の年収は決して高いとはいえず、税理士を目指す人の中には、将来は独立し、高収入を目指すという人もいるでしょう。しかし、独立しても必ずしも高収入を得られるとは限りません。開業税理士の25%は年収300万円を下回り、廃業へと追い込まれる税理士が6%いると言われています。

この記事では、税理士が独立に失敗し、廃業した後の転職先についてまとめています。廃業しようか悩んでいる人、これから開業しようとしている人は参考にしてください。

税理士が独立開業して軌道に乗るまでどのくらい時間がかかる?

1年程度で軌道に乗れると思ったら大まちがい

税理士事務所を開業して仕事が軌道に乗るかどうかは、開業までの準備が重要です。開業前に人脈をコツコツと作り、営業や経営を学んできた人とそうでない人は軌道にのるまでにかかる期間が全く違います。前者の場合は早い人だと数カ月で起動に乗る人もいますが、後者では数年かかってしまうこともあります。

顧問契約をどれだけ取れるかが鍵

税理士は顧客と顧問契約を結び、長期的に仕事をするのが通常です。一度顧客を獲得すれば、安定的に収入を見込める仕事ではありますが、営業力がない人は顧客獲得に苦労し、収入のない期間が続いてしまうのです。税理士として独立するには、開業当初から顧問料が入ってくるような契約先がなければ軌道に乗るのは厳しいといえるでしょう。

顧客がいない状態で開業してしまうと、税理士としては何もすることがない状態が数カ月続くこともあります。加えて営業力がないまま開業してしまうと、顧客がいない期間がどんどん長引いてしまいます。

やみくもに仕事を引き受けない

開業時は一人で始める人も多いと思うので、一人で何ができるか、何をしていくかを明確に営業していかないと、せっかく顧客を獲得しても大変なことになってしまいます。やみくもに依頼を引き受けて、安価な報酬で長時間働くはめになったり、できない仕事まで引き受けて結局解約になってしまったりということがあります。

1年で軌道に乗せるのは難しい

税理士事務所を開業して1年で軌道に乗せることは困難です。多くの人が、収入面、事業内容、顧客獲得において、難しさを感じています。税理士事務所を開業するには、数年間は軌道に乗らないことも覚悟しなければならないでしょう。

1年を迎えず資金繰りが限界に!税理士が独立失敗する理由

立地が悪い

顧客からの信頼を得たいと事務所を借りるときに、最初から一等地に借りようとする人がいますが、これは資金繰りを圧迫する大きな要因になってしまいます。開業一年目は、仕事が軌道に乗るか不確定な要素が多い時期です。無理をして身の丈に合わない家賃のところを借りてしまうと、あっという間に資金繰りが大変になってしまいます。

税理士の登録者数が多い

税理士の登録数は年々増加しているのに対して、企業数は減少傾向にあります。そのため、昔に比べると、企業に対する税理士の数が多く、その分ライバルが増えているのです。ライバルに差をつけるための特色やサービスを打ち出すことができないと、埋もれてしまいます。

営業のノウハウを知らず、集客に関する知識もない

開業税理士の仕事を軌道に乗せるためには多くの顧客を獲得し、安定的な収入を得ることが必要です。ただ待っているだけではお客さんは来てくれません。せっかく税理士としての資格や技術があっても、営業のノウハウや集客に関する知識もないのでは、その知識を活かす機会は訪れず、一向に収入は増えません。

単価の低下による報酬の減少

コンピューターや会計ソフトの発達によって、今まで税理士が行ってきた記帳や税務申告といったものが、誰にでもできるようになってしまいました。そのため、今までの税務報酬に疑問を持つ顧客側が、インターネットの普及と相まってより安い報酬の税理士へと流れるようになっていきました。

開業税理士で十分な報酬を維持するのが難しく、単価を下げた結果、経営が困難に陥るケースが珍しくありません。

仕事を回してくれるような頼れる税理士仲間がいない

確定申告などの繁忙期には、忙しい事務所へ手伝いに行くことがあります。企業したばかりで安定した収入のない税理士にとっては、これも貴重な収入源となります。

また、税理士法という法律で、顧客の奪い合いは好ましくないとされていますので、前職の顧客を勝手に引き抜くことはご法度となっています。それもあり、新規の顧客を自力で開拓していくのは非常に難しいと言われているのです。そんなときに自分の得意分野の顧客を紹介してくれる仲間は大きな力となります。

借金をしてしまう

自宅以外で事務所を開くときの開業資金が足りないときや、手持ちの資金がなくなりそうなときは資金を投入して解決を図りたくなります。しかし、安易な気持ちで借金をしてしまうと後で大変な苦労をすることになります。開業したときに何よりも難しいのは、顧客を獲得することです。それを安易に考え、返すあてのない借金をしてしまうと、廃業までの近道になってしまいます。

税理士で独立失敗した人におすすめの再就職先

約6%の人が廃業している税理士ですが、その人たちはその後、どこに再就職しているのでしょうか?
税理士の経験を活かせるおすすめの再就職先についてまとめました。

税理士事務所や会計事務所

最も再就職しやすいのは税理士事務所や会計事務所です。業務もこれまでと同じで、独立前の実績も評価してもらいやすいのが特徴です。

一般企業の経理部など

税制が複雑になってきたこともあり、一般企業でも税理士の需要があります。企業の大小を問わず再就職できるチャンスがあります。また、英語もできれば外資系企業への再就職も見込めます。

金融機関

以前は会計事務所と提携するのが一般的でしたが、近年では税理士を直接雇用している金融機関も増えてきました。銀行だけでなく、保険会社や証券会社などでも需要があります。

会計ソフト会社

会計ソフトのメーカーは、税務の知識が必要なので、税理士としての知識や経験を活かして仕事をすることができます。プログラミングなどに抵抗がなければさらにおすすめです。

コンサルティング企業

経営者や資産家に対して、事業継承や相続対策を提案するコンサルティング企業も税理士の知識が必要な仕事です。

独立失敗からさらに転がり落ちていかないための転職方法

独立で失敗したことが転職においてマイナスイメージになることは必ず避けたいことです。廃業も最終目的を達成するための過程と前向きに捉え、企業にポジティブなイメージを持ってもらうことが大切です。また、以前の職場と横のつながりがある職場を避ける必要性があります。

自分だけで転職先を探すのは効率が悪い

自分だけでは転職先を探す、転職先の情報を仕入れるのには限界があり、廃業後からの職探しでは、時間的に余裕もないので、効率的に転職活動を行うことが必要です。転職活動をスムーズに進めるためには、トータル的な転職のサポートを行ってくれる転職エージェントの利用が便利です。

大手監査法人や税理士事務所とも取引がある総合型転職エージェントであれば、転職先の内部情報を効率よく収集できるのでスムーズに転職活動ができます。また、多くのエージェントでは、一般には出回らない非公開求人を保有しているので、自分では見つけられないような転職先も紹介してくれるというメリットもあります。

企業側にポジティブなイメージをアピールすることが重要

廃業後の転職活動であっても、前向きな姿勢を企業に伝えることが大切です。転職エージェントを利用すれば、自分でまとめるとネガティブになりがちな独立に失敗したという経歴についても、書類や面談の対策段階でキャリアコンサルタントからサポートを受けることができるので、企業側にポジティブにアピールすることができます。

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まとめ

企業からの税理士の需要は高く、廃業後も以下のような転職先が考えられます。

税理士事務所会計事務所
一般企業の経理部など
銀行保険会社証券会社などの金融機関
会計ソフト会社コンサルティング会社

税理士として開業したけれど、軌道に乗らず資金繰りに苦労しているのならば、いっそ廃業してしまうのも一つの方法です。

無理をして借金を重ね、返済が難しいとなるとその後の生計を立てるのがさらに難しくなってしまいます。また、自己破産まで追い込まれてしまうと、税理士の登録も抹消されてしまうのです。取り返しがつかなくなる前に、転職をして自分の可能性を伸ばしましょう