保育園で保育士の仕事をしているけど、長時間労働の割に残業手当もつかないし、施設によっては土日も関係なく仕事あるし、本当に辛い…でも、保育士の資格しかないし、転職活動がうまくいく気もしない…。
そんな悩みを持っていませんか?

実は、保育士の資格を活かして、今よりも待遇面もよく、職場環境もよく、なおかつやりがいもある児童養護施設に転職するという選択肢があります。

これを読めば、児童養護施設の保育士になる方法と、児童養護施設の保育士の待遇の違いといった疑問が解消できます!

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目次

児童養護施設の保育士とは?

児童養護施設とは複雑な事情をもつ子どもが生活する場所

児童養護施設は、児童福祉施設(児童福祉法に基づく施設:乳児院、保育所、知的障害児施設など)の中のひとつです。
このような保育所ではない施設で働く保育士は、“施設保育士”と呼ばれています。

児童養護施設にいる子どもの年齢層は保育園より幅広い

児童養護施設には、1歳~18歳までの子供たちが生活しています。
保育園で接してきたような0~6歳の乳幼児ではなく、18歳までを“児童”と位置付けているため、保育園よりも年齢層が幅広いという特徴があります。

児童養護施設に入所している子どもたちのさまざまな事情

児童養護施設には、生んだはいいけれど、自分たちでは経済的・精神的などさまざまな事情によって育てられないという理由で預けられた子どもや、いわゆる「赤ちゃんポスト」に入れられてその後児童養護施設に移ってくる子どもがいます。

また、精神的なケアが必要な子どもの中でも、特に保育に配慮が求められるのが保護者からの虐待によって一時保護されている子どもです。

大好きな親から身体的・心理的暴力やネグレクトを受けた子どもは、心の底では親を求めているのに一緒に生活できない、愛されないという苦しみを、保育士を含む職員にさまざまなかたちでぶつけてくるでしょう。
児童養護施設の職員には、親のような役割も求められるのです。

児童養護施設と一般の保育士の違いを比較

世話をする子どもの人数は保育所より少ない

児童養護施設で保育士が配置される子どもの人数

児童養護施設では、職員1人につき世話をする子どもの人数が保育所よりも少ない点が特徴的です。
1~2歳は1.6人に1人の保育士、2~3歳は2人に1人の保育士、6~18歳は5.5人に1人の保育士という配置になっています。

保育所で保育士が配置される子どもの人数

一方、保育所の場合、1~2歳は6人に1人の保育士、3歳は20人に1人の保育士、4~5歳は30人に1人の保育士というように、保育士が1人で世話をする人数は、保育所のほうが格段に多いのです。

また、児童養護施設では18歳までの児童が入所していますが、小学校中学年以降は身辺自立も完璧になるため、ほとんど保育的な手間はかかりません。
そのため、保育士としての仕事だけで見れば、児童養護施設は保育所よりもかなり楽だといえます。

子どもの年齢が幅広く、心のケアが必要

施設保育士の役割

児童養護施設の中で、親のいない子どもたちの排泄・食事・着替えなどの世話をするということは、かなり子どもからすれば親に近い存在になります。

子どもが施設保育士に心を開けば、甘えも出てくるため、心の内側に潜んでいる子どものトラウマ、心にあいた穴を埋めるような心のケアが必要となります。

さらに就学児の場合は学習指導を行い、ひとりでもきちんと生活できるよう、自立支援を促すということも施設保育士の大切な仕事内容です。

子どもたちとは常に一緒に過ごす

子どもは施設で寝食を含めた生活をするため、一日中子どもと一緒に過ごすのが施設保育士の仕事でもあります。

保育園でも園児たちとお昼をともにしてきた保育士なら、馴染むのが早いのではないでしょうか。

退所後の子どもへのアフターケアも行う

子どもが18歳を超えると退所していきますが、退所後も付き合いは続いていくのも児童養護施設の保育士の特徴です。
児童養護施設では、退所後のアフターケアの必要性が叫ばれてきたことから、退所後も定期的に施設保育士が面会するなどのケアを行っています。

自分がケアをしてきた子どもが立派な大人になって、社会で働いていたり、結婚したりしている様子を見ることは、施設保育士として活躍することのカンフル剤となります。

賞与や手当てがあるので保育士より給料アップ

保育士よりも高い年収

保育園の保育士が転職しようと思う理由のひとつに「低賃金」がありますよね。
また、賞与が1.0か月を割っていたり、もっとすると賞与がない保育園もあり、低賃金が社会問題にもなっているのが保育園の保育士です。

これに対して、児童養護施設の施設保育士の給与は保育士よりも恵まれています。
児童養護施設の施設保育士は、初任給が大卒で18万円、短大卒で16万円となっています。
プラスして賞与もあるため、年収は初年度でも300万円前後になります。

これだけでも保育士よりも条件がいい!と思うかもしれませんが、夜勤手当や宿直手当などの諸手当が出るため、夜勤や宿直の多い月には体力的にはキツくても、給与明細を見ていい意味で悲鳴をあげる職員もいます。

ただし、昇給がほぼないため、長期間働いても初任給とほぼ変わらない月給を見て、ベテランの施設保育士はため息をつくことが多いのも事実です。

運営主体によって異なる給与体系

児童養護施設の運営主体は、公設公営、公設民営、民設民営など複数あります。
施設によっては給与体系が異なり、賞与の割合や基本給が異なるため、「児童養護施設だからどこでも同じ…」と思って転職すると、「やっぱりこっちにしておけばよかった!」と後悔することになるかもしれません。

公設公営の場合

公設公営の児童養護施設なら、職員はすべて「公務員」となり、公務員給与規定にのっとった給料を支給されます。
若手でも月収18万~24万円程度が支給されるうえにボーナスや諸手当が支給されるという高待遇です。

ただし公設公営の場合は異動があるため、マイホームの購入などを考えている人にとっては悩みのタネになることもあるでしょう。

また、採用されるには公務員試験に合格する必要があるため、高校生レベルの学習内容を身につけておく必要があります。

民設民営の場合

「官から民へ」の流れに勢いがついている現在では、児童養護施設も民間企業・民間団体が設置し、運営しているケースが増えています。

民設民営の場合は、賞与を支給するか否かは企業や団体の任意となるため、必ずしも賞与が発生するとは限りません。

しかし、公設公営の児童養護施設と違って異動がありませんから、ずっとその職場で施設保育士として活躍できるという特徴があります。

人間関係は悪くない

児童養護施設では、やりがいを求め、意欲のある人が児童養護施設で働いています。

そのため、保育園のような、陰口だらけ、先輩に遠慮して帰れない、などの人間関係ではないことが多いものです。
そもそも福祉の心があるからこそ児童養護施設に勤務しているわけですから、人を思いやる気持ちのある職員が多いのです。

また、看護師、心理療法担当職員、家庭支援専門相談員、調理員など、様々な分野の人達と連携しながら保育を進めていくため、普段から良好な関係を築いています。

勤務はシフト制で24時間体制

児童養護施設の平常勤務は週2~3日と、一見すると少ないように見えるかもしれません。

しかし、週1日以上は宿直というかたちで施設に泊まり込む必要があります。
また、週に1、2回は夜勤があり、変則的な勤務体系についていけるだけの体力が必要です。

当たり前ですが、子どもたちは施設で日常的に暮らしているため、職員には土曜日も日曜日も関係ありません。
土日・祝日出勤が普通なのです。

休みなく、不規則に勤務していると、体力だけではなく精神的にもダメージを受ける施設保育士もたくさんいます。
日ごろからセルフケアを行える人は、児童養護施設の施設保育士に向いているでしょう。

児童養護施設の保育士に転職する方法は?

「保育士」または「児童指導員」の資格があれば応募できる

児童養護施設の募集要項を見てみると、保育士か、児童指導員の資格が必須となっています。

保育士は国家試験をパスするか、もしくは大学・短大・専門学校などの指定保育士養成施設を卒業することで取得できます。
この場合、指定された期間の保育実習をともなうことになります。

保育士資格がなければ「児童指導員」の資格を取得

取得方法1.養成施設を卒業する

児童指導員の資格を得るには、厚生労働大臣の指定する養成施設を卒業する必要があります。
具体的には、介護福祉士や社会福祉士などの国家試験を目指している専門学校などに、児童指導員養成のための科目が設置されているので、そのような専門学校を卒業するという方法です。

取得方法2.4年制大学で指定科目を修めて卒業

4年制大学の中でも、「心理学」、「教育学」、「社会学」の3つの学部のうち、いずれかの学部に入学・卒業することで、児童指導員に必要な単位を取得できます。

取得方法3.高卒で実務経験を積む

他にも、高卒でも児童福祉事業に2年以上従事していたことが証明できれば、児童指導員の資格が与えられます。

保育所に比べると児童養護施設の求人は少ない

ハローワークや大手転職サイトを見てみても、保育園での保育士の仕事や、託児所での仕事はすぐに見つかるのに対し、児童養護施設の求人はなかなか世に出回りません。

若い力がほしいから、新卒を採用しやすい

体力勝負の児童指導員は、離職率が低くはありません。
そのため、少しでも若くて体力のある施設保育士がほしい施設側は、新卒を採用しやすいのです。

さらに施設は大学や短大などとのつながりがあり、「学校求人」として大学や短大にしか出さない求人があります。
これは一般公開されずに、学生しか閲覧できないため、中途採用はさらに難しくなるのです。

求人は隅から隅までよく確認する

児童養護施設の賞与の回数、手当てなどは求人によってかなりの差があります。
施設の職員宿舎に住み込みの求人もありますから、家賃を抑えたい人は住み込みありの求人に、家族がいて自宅を持っている人は住み込みの求人を避けるようにしましょう。

児童養護施設の求人は保育士求人サイトで見つけやすい

児童養護施設で働きたいのに、なかなか求人が見つからない…。
そんな時には、保育士専門サイトを利用するのが便利です。

保育士さんが認める保育士ワーカー

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保育士ワーカーは、幼稚園はもちろん、認定こども園、認可保育園、無認可保育園、準認可保育園、託児所、児童養護施設、学童保育まで、全国のさまざまな保育士関係の求人を提供している保育士・幼稚園教諭専門の転職サイトです。

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でも児童養護施設に応募したことがないから不安…という人にも、コンサルタントからカウンセリングを受けられるので、応募の際の諸注意や応募書類の書き方についてもアドバイスしてもらえるので安心です。

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まとめ

児童養護施設に転職して後悔しないためには、まずその施設の運営方式が公設・民設・公営・民営のどれなのかを確認し、夜勤や宿直の回数をチェックしておきましょう。

児童養護施設は18歳までの子どもがいるため、保育所で保育士として働いてきた人にとっては楽に思えるかもしれません。
ただし、児童養護施設に入所する背景がポジティブなものではないだけに、学習サポートや身の回りの世話だけではなく、心のケアもする覚悟が必要です。

施設によっては賞与や手当が加算され、保育所の保育士よりも年収がアップする児童養護施設の施設保育士ですが、求人が世に出回ることは少ないため、保育士専門の転職エージェントに相談し、求人を効率的に見つけて応募しましょう。