「育児に理解が無い」、「女性の立場が低い」「キャリアアップが望めない」といった理由で、女性が働きやすい企業に転職したいと考えているなら、求人や企業の謳い文句に書かれていることを信用せず、しっかりリサーチすることが大切です。

本当に女性が働きやすい転職先を選ぶためにチェックすべきポイントや、志望先の内部事情のリサーチの仕方をお伝えしますので、転職先を決める前にぜひご覧ください。

女性特有の条件で検索しやすい転職サイトと、女性が働きやすくて年収&キャリアアップも叶う転職先を見つけたい人におすすめの転職エージェントもご紹介します。

女性が働きやすい業界・転職先の企業の定義

年代問わず働きやすい制度が充実している

女性が長く働き続けるなら、家庭を大切にしながら仕事もしっかり頑張りたい人を応援してくれる社風で、年代を問わず働きやすい制度が整っている企業が働きやすいです。

「社内託児所の設置」「職場復帰前研修の実施」、「生理休暇」「出産・育児休業制度」、「バースデー休暇」などが完備されていると、未婚・既婚にかかわらず働きやすいですし、途中で出産・育児が生じても安心して働けます。

また、子育て経験者が多い企業は、仕事と家庭を両立しやすい環境である可能性が高く、子育てについて上司や同僚の理解も得やすいです。

子育て中は子供の看護休暇や半日休暇制度も必要になってくるので、そういった制度があるかもチェックしましょう。

働きやすい企業は大手が多い

さまざまなライフステージに対応する制度が整っていて働きやすい企業は、大手企業に多くなっています。本当に働きやすい企業は従業員の勤続年数が長いため、新たな求人は少なくなります

そのため、働きやすい企業であるほど、1件の求人に求職者が殺到し、競争率が高くなります

働きやすい企業の定義がある

女性が働きやすい企業とは、「従業員のうち、女性が50%以上を占めている」「女性上司がいる」、「ワークライフバランスが取りやすい」「結婚や出産・育児などのライフイベントを経験する人を歓迎する風潮がある」といった条件を満たしている企業です。

これらの条件を満している企業は、多様性(ダイバーシティ)が浸透している企業であることが多いです。ダイバーシティが浸透しているかをチェックするには、LGBTや障害者の雇用があるかも目安の一つになります。

女性が働きやすい業界のTOP3

女性が働きやすい企業が多い業界を見てみましょう。

外資系企業

さまざまな人種や国籍の人で構成されているため、仕事の内容や人材、勤務時間帯に及ぶまでの多様性が期待できます。

保険業界

外交員の多くは育児経験者の女性なので、出産・育児に対しての理解が得やすい業界です。女性が多い業界なので女性上司が多いイメージがあるかもしれませんが、営業所長や支社長など、上司は男性が多いです。女性職員はほぼ、外交員または事務職員です。

ですが、ある程度自分の裁量で時間の使い方を決められるので子育てとも両立しやすく、女性が活躍できる仕事ではあります。

ただし入社後1年くらいは研修期間で自分の自由には動けないため、その時期に妊娠や小学生以下の子供の子育てが重ならないように考える必要があります。

美容業界

美容業界は独身OLから専業主婦まで、さまざまな属性の顧客を相手にします。女性ならではの視点や主婦ならではの視点が役立ちやすく、そういう意味では女性のための仕事と言えます。

従業員や上司も女性が多く、いろいろなライフステージの女性の立場や事情を理解してもらいやすい業界です。

【女性が働きやすい業界】女性が活躍する企業TOP5

次に、女性の活躍が多い企業TOP5と、取り組みの内容を見てみましょう。

第一生命女性の能力開発・リーダー育成・ワークライフバランスにフォーカスする取り組みがあり、働きがい・働きやすさでランキング1位
住友生命制約があっても働きやすい・働き続けられる環境の整備があり、8年前から全社20時にPCが強制的にシャットダウンする早帰り施策が継続されている
セブン&I・ホールディングス2012年からダイバーシティ推進の取り組みが開始されている。女性の意識改革、女性管理職者の比率が大幅に上がった
花王育児両立支援制度を充実させ、出産後も働き続ける社風に加え、男女関係無く能力のある人材を大切にする風土が定着
パソナグループ創業以来ダイバーシティを推進し続ける企業。
昇進・昇格の男女差が無く管理職の女性比は49%と高い

出典:日経WOMAN 2017年6月号

こうして見ると、どの企業も似たり寄ったりの施策ですが、それは企業側や世間に、こういった謳い文句の企業が「女性が働きやすい企業」と思い込む風潮があるからです。

あくまでも「世間受けがよい施策」、「企業側が女性ウケがよさそうだと思っている施策」にすぎず、必ずしも当事者である女性にとって働きやすいとは限らないことを念頭に置いておきましょう。

【女性が働きやすい業界】求人の見つけ方

第三者機関の認定があるから【女性が働きやすい】

女性が働きやすい求人を見極めるには、第三者機関の認定があることが目安の一つになります。

例えば「くるみんマーク」、「ワークライフバランス認定企業」といった認定は、福利厚生が整っており、女性の働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業にしか付与されないので、こうした認定を受けている企業の求人は女性が働きやすい求人である可能性が高いです。

また、「なでしこ銘柄」「ダイバーシティ経営企業100選」では、女性が活躍する企業、働きやすい企業の評価がされているので、これらに選ばれている企業の求人も女性が働きやすい求人である可能性が高いです。

ハロワは辞めたほうがいいワケ

転職先を探す際、ハローワークで求人を探すのはあまりおすすめではありません。その理由は、ハローワークの求人は空求人やブラック求人が多く、効率が悪いからです。

ハローワークの求人は無料で掲載でき、「辞められたら次の人材を募集すればいい」という安易な使い方もできるため、悪質な企業の求人が入り込みやすいのです。

また、ハローワークの職員は相談すれば求人の紹介くらいはしてくれますが、企業との交渉や応募は自分でしなければなりませんし、転職成功のためのプロのアドバイスも期待できません

もしハローワークから応募する場合は、いつまでも残っている求人や、頻繁に同じ求人を出している企業は避けた方が賢明です。

転職サイトで女性が働きやすい企業を見つける方法

求人の傾向をリサーチするには、自分のタイミングで無料でいつでも検索できる転職サイトが便利です。女性専門の転職サイトを利用すれば、女性特有の条件で求人を絞り込むこともできるので効率的です。

女性専門の転職サイトなら、女の転職@typeが使いやすくておすすめです。「女性管理職あり」「育児と両立OK」といった女性ならではの条件で検索できるので、自分の希望条件だとどのような求人があるのかをリサーチしやすいです。

「アパレル・コスメ」などの女性向け業界の求人特集もあります。

働きやすい&年収・キャリアアップも狙える求人を見つけるには

転職サイトに掲載されている求人は、誰でも閲覧できる公開求人です。しかし、大手企業や外資系などの高待遇の求人はほとんどが非公開求人のため、転職サイトでは見つけることができません。非公開求人はすべて、転職エージェントを通して募集が行われています。働きやすさだけでなく、年収&キャリアアップも狙いたいなら、転職エージェントで転職先を探すしかありません。

【女性が働きやすい業界】それって本当に働きやすい?ウソ・ホント

時短を謳っている企業でも信じてはいけない

「時短勤務で正社員」の求人はほとんどありません。時短勤務を謳っている企業でも、実際に時短で正社員として勤務しているのはほぼ、それまでその企業に勤めていた従業員が、何らかの理由でフルタイムでの勤務が難しくなったために時短になっているケースです。

企業にとって、時短勤務もフルタイムも、掛かる人件費は同じです。ですが、長く働いていて頼りになる従業員の場合は時短でも残って欲しい場合があります。つまり、正社員の時短勤務はあくまでも、職務能力等の信用という蓄えが貯まった人の特権なのです。

最初から手厚い恩恵を求めてはいけない

その企業に対して何の実績もないのに、最初から手厚い恩恵を望む姿勢では転職先は見つかりませんし、面接で「ここ時短ですよね」というそぶりを見せれば、仕事をする気がない人とみなされて印象が悪くなります。

育児など家のことに時間を割かなければならない事情がある場合は、時短で探さず、「働き方の多様性が認められている企業」で探すのが正解です。

ワーママがいっぱいいる!喜ぶのはまだ早い

「ワーキングママがいっぱいいる企業だから安心」と判断するのは早計です。女性はマウンティングする生き物だからです。特にワーキングママ同士はお互いに同じ境遇なだけに、張り合おうとする人が出てきやすく、マウンティングが起こりやすいのです。

また、同性同士はどうしても本能的にライバルになってしまうため、女性上司の方が意外に女に厳しいという現実もあります。

こうした女性同士の争いは、男性の目がない場ほど恥も外聞もなくなるために起こりやすくなるので、男性が全くいない企業の現場は避けた方が無難です。女性・男性の比率は、50/50程度がもっとも円満になりやすいです。

時短で働いている人が多いのは喜べることじゃない

時短勤務は確かにプライベートな時間を確保しやすいですが、「時短で帰る人の分の仕事は誰がやるのか?」という問題も発生します。「時短で仕事はラクだけれど、他の従業員に負担を掛けて気を遣ってしまう」というのでは、精神面の負担が大きくなってしまいます。

そういった意味では、時短勤務が可能かどうかよりも、互いに適度に甘え合える環境が根づいている職場の方が働きやすいでしょう。他の従業員と持ちつ持たれつでやっていくには、「情報の共有ができている・コミュニケーションが取りやすい」職場であることが重要です。

面接のときは企業見学するつもりで挑む

面接のときは、その企業を見学するチャンスです。部屋の物件探す感覚で、しっかり観察しましょう。例えば、従業員同士の会話に「ありがとう」が多く、トイレや設備がキレイなら、気持ちに余裕がある人が多くて働きやすい社風である可能性が高いです。

また、従業員に女性がどのくらいいるかもチェックしましょう。役職までは面接のときにチラッと見ただけでは分かりませんが、男女比の割合くらいは見ておくべきです。

入社する前に情報を得るべき

入社後に後悔しない企業を選びたいなら、入社する前に企業の詳しい情報を得るべきです。情報ツールは、会社批評のサイトを見るよりも退職者に聞くのが一番です。現職に就いている人は立場上、正直なことを言いにくいので口が堅いことが多く、あまり役に立ちません。

ですが、退職者なら、辞めた理由までは聞けなくても、どんな企業なのか、どういった雰囲気なのかはすんなり聞けることが多いです。

志望先の退職者が身近にいない場合は、転職エージェントでも企業の内部情報を教えてもらうことができます。転職エージェントは求人を出している企業に頻繁に足を運んでいるので、職場の男女比やどのような人がいるかまで詳しく把握しています。

【まとめ】女性が働きやすい業界に転職したいなら事前リサーチが重要

次こそ本当に女性が働きやすい企業に転職したいなら、企業の謳い文句を鵜呑みにせず、志望先の実態を事前にしっかりリサーチすることが大切です。女性が働きやすいとされる条件に当てはまる場合でも、男女比によってはその条件が裏目に出ることもあります。

女性が働きやすい転職先を探すなら、退職者から内部事情をヒアリングするか、転職エージェントから企業の詳しい情報を教えてもらうのが確実です。