不登校になると「これからの進路ってどうすればいいの?」「そもそもどんな進路先があるの?」と不安になる生徒や保護者は多いのではないでしょうか。
基本的には高校進学が多数派ではありますが、不登校でもやりたいことや自分のスタイルに合った進路を叶えるのはできます。
そこで今回は、不登校の中学生の進路先や進路を決める際に保護者の方がおさえるべきポイントについてご紹介します。
「親としてどんなサポートができる?」「勉強が苦手なんだけど、どんな進路先があるの?」といった方はぜひ参考にしてみてくださいね。
不登校でも大丈夫
中学生の不登校の割合とは?
そもそも中学生で不登校になってしまう人はどれくらいいるのでしょうか?
文部科学省にある不登校生徒に関する追跡調査によると、中学生のなかでも中学1年生が最も割合が高く、次に中学2年生が多いとされています。
また、不登校は一時的なものではなく、3年間続いてしまう傾向にありますので、仮に高校進学してからでも不登校になる可能性は充分にあると思っておいたほうが良いでしょう。
不登校になるきっかけとは?
不登校になる原因は人によってさまざまですが、中学生が不登校になるきっかけは大きく以下のものが挙げられます。
中学生が不登校になるきっかけ
- 学校生活に関すること
- 家庭環境の変化
- 生活習慣の乱れ
不登校に最も多い原因には学校生活に関することがありますが、なかでも人間関係トラブルや学業不振などが考えられます。
不登校は進学校でも中堅レベルの学校でも関係なく、誰しも起きること。
ほかにも進級や転校をきっかけに、環境になじめず不登校になるケースもありますよ。
また家庭環境の変化はどうしても避けられない面もありますが、「両親がいつも不仲」「引っ越し・離婚などによる環境の変化」といったことも自己肯定感が下がる原因になります。
さらに「夜遅くまで起きていることが多い」「朝起きれない」「いつも遊んでいる」といった生活習慣リズムの乱れといったことでも、授業時間に間に合わず休むといった状態が続きやすいです。
いずれにしても、不登校になる原因はそれぞれなので、理由を知るためにも子どもと親とのコミュニケーションが重要です。
参考:文部科学省
不登校の中学生の進路先6つ
では実際に、不登校の中学生にはどんな進路先があるのでしょうか?
ここでは、不登校の中学生の進路先についてご紹介します。
不登校の中学生の進路先6つ
- 全日制高校
- 定時制高校
- 通信制高校
- 高専・高等専修学校
- 高等学校卒業認定試験を受験する
- 就職
➀全日制高校
最も多数派の進路先には、全日制高校に進学するというものがあります。
一見、「中学で不登校だったのに、全日制高校なんて通えるの?」と心配される保護者の方も多いでしょうが、不登校のきっかけが中学の人間関係だった場合、心機一転で通える可能性も充分あります。
また全日制高校といってもさまざまな校風があり、中学時代に内申点が低くて心配な方も私立などでは重視されにくいところも。
ですので高校進学を選ぶ際、不登校によって出席日数の不足などが懸念される方はなるべく内申点や学力などの比率が低いところを選ぶのがおすすめです。
さらに高校でも、見学会やオープンキャンパスをかいさいしているところもあるので、そういったところも積極的に参加してみるといいでしょう。
②定時制高校
「毎日、決まった時間に通学するのが嫌」「朝起きるのがとにかくつらい」といった方は、定時制高校に進学するのもひとつです。
定時制高校は1回の授業時間が4時間など短く、時間帯も夜間や昼からといったスタイルが選べるので、生活習慣の乱れによる不登校であればおすすめ。
ほかの学校と比べると年齢層の幅が広いといった特徴がありますが、長時間での授業に自信がない人は検討してみてください。
③通信制高校
「人間関係に関わらず、とにかく集団での学習が苦手」「家から出たくない」といった方は、通信制高校なら基本的に自宅で学べるのでおすすめです。
通信制高校はおもに学校側から送られてくる教材や課題、レポートなどを自宅でおこない、それを提出することで高校卒業資格を取得できる高校のことです。
ただし通信制高校でも、「スクーリング」と呼ばれる学校行事や特別授業などには年に何度か参加しなければいけないので、そこは把握しておきましょう。
通信制高校は不登校を含む、精神的・肉体的な問題がある人や高卒認定を取得する目的のために、あらゆる背景を持った人たちが通っています。
定時制高校と同様に、通信制高校は学力レベルによる合否はなく、基本的には作文や面接といったものなので、入試方法も難易度は低めなのもメリットです。
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④高専・高等専修学校
全日制の学校よりも専門的に、かつ専門学校よりも基礎的な分野から学びたいといった方は、高専・高等専修学校に入学するのもいいでしょう。
高専・高等専修学校では、専門的なスキルや知識が学べる以外にも、将来社会人として働く上で必要なマナーなども身につけられるのでおすすめです。
さらに就職活動をするうえで、学生生活内で何かしらの資格が取れればアピールポイントにも!
具体的に高専・高等専修学校では以下の専門分野について学べます。
高専・高等専修学校で学べる分野
- 工業
- 医療関連
- 農業
- 教育・社旗福祉関連
- 商業
- 服飾、家政
- 文化、教養
- 技術
- 商船
- 工学
高等専修学校では学校によっては、修業年数3年以上など、一定の条件を満たせば大学受験資格を得られるため、その後の進学にもつながります。
また、全体の生徒の約2割程度は不登校出身もしくは経験者であることが多く、教師陣もカウンセラーの資格を持った人が在籍しているところも!
したがって、高校卒業後の進路相談や日々の学習のサポートが充実しているのも魅力です。
「学んでみたい分野が決まっている」「専門資格を習得したい」といった人は、ぜひ学校見学や資料請求などをしてみてくださいね。
⑤高等学校卒業認定試験を受験する
「高校は卒業したいけれど、学校に通えるかどうか不安」な方は高等学校卒業認定試験を受験するのもひとつの方法です。
高等学校卒業認定試験とは、身体的・精神的・経済的理由などによって高校を卒業できなかった人や、高校に進学できなかった人を対象におこなわれる試験で、試験に合格すると高校卒業者と同等以上の学力があると認められます。
大学や短大、専門学校に入学したい方は、高校卒業が必要条件となりますし、中卒よりも高卒や大卒の方が就職でも有利にはたらくので取っておくべきです。
通信制高校といった自宅での学習でも、高等学校卒業認定試験は受けられるので、「学習には自信がある」「中学レベルの勉強内容はしっかり定着している」方は選択肢のひとつとして考えてみてください。
⑥就職
これは家庭の事情や本人の意思の強さにもよりますが、就職するといった選択肢もあります。
ただし中卒での就職は、ほかの高卒や大卒、専門学校卒に比べると求人数が少ないため、自分の職種や業界に就職できるとは限らないので要注意です。
ほとんどの場合だと、アルバイトやパートといった非正規雇用から就職するといった形になるのが多いでしょう。
もちろん非正規雇用から正規雇用までキャリアアップすることもできますが、「より給与の高いところで働きたい」「好条件での就職先を目指したい」なら、高校進学をおすすめします。
不登校生から高校受験で苦労しがちなポイント
不登校から高校受験では、やはりほかの人と比べるとどうしても苦労してしまう面があります。
ここでは、不登校生が高校受験でネックとなりやすいポイントについて解説していきます。
不登校生から高校受験で苦労しがちなポイント
- 出席日数
- 学力
- 受検に関する情報
- モチベーションの維持
出席日数
不登校になると、やはり毎日出席している生徒と比べると出席日数が少ないです。
一般的に不登校として定義されるのは、欠席日数が毎年30日以上続く状態のことを指しますが、志望校の学校や在籍している学校によっては欠席日数が多いと受験自体できない可能性もあるので注意が必要です。
なかなか不登校からいきなり毎日出席するのは難しいですが、学校によっては保健室登校や別室登校などが適用されるケースもあります。
ほかにも学校ではなく、適応指導教師やフリースクール、家庭教師、学習塾などに通うことでそこの出席が反映されることも。
しかし、全ての学校で対応してくれるとは限らないため、必ず担任や学校の校長などと相談するようにしてください。
学力
出席日数と同様に、学力もまた不登校生の受験には悩みのタネとなります。
そもそも授業に参加できていないことから、定期テストでは点数を取れず内申点も良くない、初歩的なところから理解できていない箇所があるといった方は多いのではないでしょうか。
とくに中学での学習は範囲も広く、基礎的なことが分かっていないとできないことも増えていきます。
学習面でのフォローについては塾や家庭教師を利用して補填する方法もありますが、私立だと国語・数学・英語の3教科で受験できるところもあります。
教科を絞るか、学校以外での学習を増やすかは家庭やその子ども性格にもよるので、合った方法を選ぶようにしてください。
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受検に関する情報
不登校で学校に行けなくなると、どうしてもほかとのコミュニケーションの場が狭まるので、高校の情報や高校入試に関する情報が不足しがちです。
また学校に、同じように不登校で悩んでいる子どもがいるとは限らないので、周囲に相談しにくいといった面もあります。
受検に関する情報や進路指導などについて知りたいのなら、ネット検索といった方法もありますが、家庭教師や担任に相談するのが有効です。
担任も家庭教師も、不登校生へのサポート実績があったり、より客観的なアドバイスを得られるメリットがあります。
さらに、入学後のミスマッチを防ぐには、実際に気になる学校に足を運んだり、学校説明会やオープンキャンパスに行ってみるのもおすすめです。
モチベーションの維持
不登校であってもなくても、受験にはモチベーションの維持が重要です。
志望校の受験日によっても異なりますが、一般的に受験勉強は長いので、ずっと意識を保ち続けるのは難しいでしょう。
家族からのフォローも大事ですが、それが逆に不登校生にとってはプレッシャーに感じることもありますので注意しなければいけません。
家族だけではなく、中学生の子どもに年齢が近い家庭教師などを利用するのもおすすめです。
不登校生が進路を決める時に保護者ができること5つ
不登校から進路を決める場合、保護者のサポートは必要不可欠です。
最後に、不登校生が進路を決めるときに保護者の方ができるフォローや気を付けるべきポイントについてご紹介します。
不登校生が進路を決めるときに保護者ができること5つ
- 子どもの意思を尊重する
- 専門機関からアドバイスをもらう
- 痰飲やスクールカウンセラーに相談する
- 親同士の情報取集を密におこなう
- 家庭教師を利用するのもひとつ
➀子どもの意思を尊重する
進路を決める際は、何よりもまず子供の意思を尊重することが大事です。
「ここのほうが良いんじゃないの?」「そろそろ勉強したほうが良いんじゃないの?」などと心配する気持ちはわかりますが、あまりにも一方的に押し付けすぎると取り返しのつかない結果になることもあります。
とくに心の入れ替わりの激しい難しい年代ではありますが、不登校生はとくに日々のコミュニケーションがなくなったり親子関係が最悪になると致命的です。
ただし、やはり将来のことを考えると子どもの言うことをすべて受け入れるのも良くありません。
「ほかにはこんな進路があるよ!」と柔らかく伝えたり、万が一のために滑り止めの私立や代替案などを考えておいたほうがいいでしょう。
子どもが話したいと思う時にいつでも話しやすい状況や環境をつくることこそが、保護者ができるベストな方法です。
②専門機関からアドバイスをもらう
一番子どものことについて把握しているといっても、不登校に関する知識や理解がなくて自信がないといった保護者の方も多いはずです。
そういった方は、不登校生への進路に詳しい専門機関からアドバイスをもらうのもおすすめです。
地方自治体や市町村によっては、不登校の子どもやその保護者を対象にサポートをおこなっているところはたくさんあります。
不登校生やその保護者におすすめの機関
- 児童相談所
- 児童相談センター
- ひきこもり地域支援センター
- フリースクール
- 教育支援センター
- 不登校支援事業
- 発達障害支援センター
ほかにも、精神的・身体的な問題によって不登校が続いているのなら、かかりつけ医や小児科といった医師に相談するのもおすすめです。
もし、「どこに相談すればいいかわからない…」といった方は、住んでいる市町村の総合窓口や教育関連の窓口に問い合わせてみてみてください。
③担任やスクールカウンセラーに相談する
より身近な人に話を聞いてもらいたいのなら、学力レベルを把握している学校の担任やスクールカウンセラーに相談することも有効です。
学校の先生なら内申点についても知っていますし、長年のキャリアがいる先生なら同じように不登校生の進路相談を受けてきた経験がある可能性が高いですからね。
また学校によっては、スクールカウンセラーといったメンタルケアサポートに長けた、学校生活をサポートする立場の人が配置されている学校もあります。
スクールカウンセラーは進路相談というよりは、おもにモチベーション維持やメンタルケアなどについて有益なアドバイスを得られるメリットも。
学校との連携をとることで、不登校が続いた時も授業のフォローをしてくれたり、復学や再登校がスムーズに進むため、定期的に相談することをおすすめします。
④親同士の情報収集を密におこなう
不登校かそうでないかに関わらず、受験情報をえらいのなら親同士のコミュニティで情報取集を密におこなうのがいいでしょう。
なかには、進路で悩んでいる人や同じように不登校で悩んでいる保護者がいる可能性もあります。
悩みや不安に対して共感してもらえるだけではなく、兄弟などが通っている親御さんであれば地域の学校の評判についても把握できます。
インターネットでは、不登校生を持つ保護者や進路に関する情報をまとめたサイトなどもあるので、ぜひ参加してみましょう。
⑤家庭教師を利用するのもひとつ
進学を前提に考えているのであれば、不登校生の指導実績がある家庭教師に相談するのもひとつの方法です。
最近では不登校生に特化したコースやカリキュラムが充実している家庭教師も増えてきていますので、「学習習慣がない」「学習計画を立ててほしい」「内申点が心配だから学力を上げたい」人におすすめです。
さらに、メンタルケアに関する資格をもった講師も在籍しているところもあるので、学習面だけではなくモチベーション維持にも有効です。
集団での学習額でない方は一般的な塾や個別指導塾、周囲の目が気になる方は家庭教師が向いているでしょう。
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不登校の中学生の進路はたくさんある!
今回は、不登校の中学生の進路先や進路を決める際に保護者の方がおさえるべきポイントについてご紹介してきました。
不登校の中学生の進路は全日制高校への進学のほかにも、たくさんの選択肢があります。
中学生は基本的に高校に進学するか、高等学校卒業認定試験をうけて高卒認定を取得するほうが、その後の就職や大学進学が可能になるなどメリットが多いです。
また、不登校生は内申点がほかの人よりもどうしても不利になってしまう傾向にあるため、それに対する対策が重要となってきます。
たとえば、単純に出席日数を上げる方法もありますが、学力レベルを引き上げるものもありますが、どちらもすぐにできるものではありません。
学校によっては教室に通っていなくても、保健室登校や別室登校などができるところもありますし、家庭教師や塾を利用するのもひとつです。
不登校から進路を決める際は、子どもだけではなく保護者もまた不安を感じるものでもあります。
しかし、必要以上に問い詰めたりすると逆効果になる可能性もあるので、子どもと話す機会を増やしつつ普段からも子供から話しやすい状況をつくる人が大事。
今回の記事を参考に、進路について子どもと話してみたり、信頼できる学校や家庭教師との連携をしてみてくださいね。